吉岡東のサーフ・エンジニアリング(根本秀幸社長)が5月21日、綾瀬大橋下で自社開発のインフラ点検ロボット「のぼるくん」の技術応用の可能性を探る実証実験を、市の協力のもと行った。市内初のロボット実験は成功し、インフラ点検のみならず災害現場での活用の可能性など、製品化に向けた今後の展開に注目が集まっている。
行われたのは、綾瀬大橋の橋脚を使った「外観目視検査用昇降ロボット」の検査実験。「かながわビジネスオーディション」で知事賞を受賞した、ガス管などの外面を検査するシンプルロボット「のぼるくん」で開発した特許技術が組み込まれている。
実験対象の橋脚は幅6・15m×3・15m、高さ11・5mと巨大なものだ。12個の車輪と4つのモーターで駆動する同ロボットで柱を垂直に登り、備え付けられたカメラで基地局に映像を飛ばし壁面を確認する。市道路課によると橋脚の点検は通常、橋脚下からの脚立と橋上からの点検車を使った目視点検を行うという。
災害現場活用の可能性も
確認項目は「登坂スピードとブレーキ」「本体の水平具合」「車輪の耐荷重」「カメラがどの程度見えるか」など。壁面は平らなように見えて細かい凹凸や継ぎ目があるため、260kgの本体をずり落ちることなく安全に上げるのは容易ではない。ここに「のぼるくん」の特許技術が生かされている。
ロボットは約10mの高さを2分ほどで走行し、実験は成功した。その後、根本社長自らがロボットに乗り昇降する実験も行われ、消防車の乗り入れが難しい災害現場での人員輸送機としての可能性も示唆した。構造がシンプルなため分解・組み立ても容易で、現場に合わせた大きさに調整も可能だという。
「今回の実験は市職員との打ち合わせの中で『こんなことが出来たら』程度に話していたもの。それが翌日には許可を出し、仮テスト2回を含めわずか3週間で実現してくれた。その素早い対応には驚いた」と根本社長は話す。
今後は安全装置やセンサー、遠隔操作などシステムの高度化も視野に入れながら、製品化を目指す。
市も支援体制強化の姿勢
成否を見守っていた小塩政由副市長は「綾瀬は県内第4位の企業集積地で、いい技術を持った企業がたくさんある。市としても新たな技術があれば、今回のように課を超えて積極的に支援していきたい。様々な製品を”made in AYASE”として発信できれば」と、今後に期待を寄せた。
サーフ・エンジニアリングは、インフラ点検する特殊機械をオーダーメイドで設計・製造する会社。かながわ信用金庫支援のもと産・金・官連携で開発した「のぼるくん」のシンプルで壊れにくい構造を活かし、現場ニーズに合わせた活用を模索していた。
![]() 橋脚を10mの高さまで登る目視検査用ロボット
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