市内に開設した私設図書館「佐伯有清記念歴史図書館 清心館」を運営する 上澤 眞利さん 66歳
尽きぬ好奇心を動力に
○…亡き父が遺した膨大な蔵書を多くの人に活用してもらいたいと、私設図書館を綾瀬市内に開館し夫婦で運営している。「清心館」という図書館の名は、父の戒名の一部からとったもの。国内外の歴史書をメインに扱っているためか、蔵書一覧が掲載されているホームページにはアメリカ・イギリス・インド・中国など海外からの検索も多い。「本から様々な視点を得て学びを深めてほしい」と話す。
○…愛知県豊田市生まれだが生後すぐ横浜に移り住んだ。3人姉妹の真ん中で、興味を持ったら何でもやってみる好奇心旺盛な子どもだったという。中学時代は卓球・美術・コーラス部に所属。歌う楽しさに魅せられて、高校でもコーラス部に入部し部長を務めた。卒業後は、英米文学を学ぼうと相模女子大学に進学。「昔から『赤毛のアン』や父が買ってくれた『世界文学全集』の物語が好きで。文化や考え方の違いに興味をそそられたんです」と当時を振り返る。その後は学んだ英語を使う職業に就きたいと、当時取得した教職を活かし中学校教諭に。綾瀬市内の3つの中学校を巡り30年間務め上げた。27歳の時に数学教諭だった夫と結婚し、2人の息子に恵まれた。
○…学生の頃から現在まで熱中してきたのが、海外の人との「文通」。外国への憧れから中学3年生の時に国際ペンフレンド協会に登録したのが始まりだ。以来アメリカやスイスなど様々な国の人とやり取りを楽しんだが、ドイツの人とは現在も季節の挨拶や誕生日のたびに連絡を取り合う仲。最初の手紙から50年の月日を経て家族ぐるみの付き合いとなり、互いの国を訪問し合い対面も果たした。
○…学生時代から好きなコーラスは現在も継続しており、海老名の合唱団に10年間所属している。今の憧れの人はアメリカ人絵本作家・園芸家のターシャ・テューダー。「彼女の、無理しないで好きなことをする姿勢を見習いたいですね」と柔らかく微笑む。