綾瀬タウンヒルズショッピングセンターの協力会社である西新サービス(株)の筒井美香さんと、相鉄企業(株)の山崎友和さんの2人が、同施設内で発生した還付金詐欺(振り込め詐欺)を事前に阻止した。この功績に、大和警察署の小林仁署長から感謝状が贈られた。
事件が発生したのは、3月13日の昼過ぎ。60〜70代くらいの男性が来店し、サービスカウンター業務を行う筒井さんに「みずほ銀行はどこですか?」と尋ねてきた。
案内を終えた筒井さんのもとに、「午前9時半から午後1〜2時くらいまで、みずほのところに人がいると聞いたがいない」と男性が再び訪れた。9時半という開店前の時間に違和感を覚えた筒井さんは防災センターに連絡。銀行が館内で作業する際は4営業日前までに申請する必要があるが、この記録が残っていないこと、男性から「還付金」という単語が出たことから、電話を受けた山崎さんは怪しいと感じ現場に急行した。
「みずほ銀行のところにJA職員がいて、還付金手続きができると聞いた」と話す男性に、記録がないこと、還付金は詐欺の可能性が高いことを説明しても「振り込まれるものだから大丈夫」「なくしてしまったが市役所から用紙が送られてきた記憶がある」と納得しなかったそうだ。
時間かけ一つずつ確認
山崎さんは男性とともにATMに同行したが、やはり人はいなかった。男性が持つメモの携帯番号ではなくJAの支店を調べ連絡し、メモにあった担当名を伝えると「そのような職員はいないし、返還手続きをATMで行うことは一切ない」という回答を得た。
それでも「役所から用紙がきた」と納得しない男性。今度は綾瀬市役所の担当課を調べ連絡すると、「医療明細書を送っているが還付金の書類を送った記録は残っていない」という答えだった。まだ納得しきれなかった男性はその足で市役所に向かったが、同じ回答だったため「詐欺だったみたいだ」と、筒井さんに報告に訪れたという。
説得に要した時間は約1時間。話を聞き、本物の連絡先を調べ、可能性を一つひとつ丁寧に潰しながらの説得が功を奏す形となった。
昨年上回る被害件数
今年に入り確認されている振り込め詐欺被害は、3月末時点で昨年同時期対比14件増の35件(大和市28件・綾瀬市7件)。被害額は約3600万円にのぼる。今回のような市から医療費が返還されるなどの「還付金詐欺」が4件、携帯電話に料金未払いのメールなどを送る「架空請求」が5件、「オレオレ詐欺」が最も多い26件。
特に多いのが、オレオレ詐欺の中でも「キャッシュカード手渡し型」といわれるケース。警察を装った犯人が「検挙した振り込め詐欺グループがあなたのカードを持っていた。世の中に出回り悪用されている。銀行協会から連絡がいくので、キャッシュカードを作り直すため渡してほしい」と連絡し、協会員を装った別の人間がカードと暗証番号を搾取するという手口で、24件確認されている。従来の現金手渡し型も2件の被害があった。
綾瀬タウンヒルズショッピングセンターでは、「今回の表彰が周知されることで振り込め詐欺への防犯意識につながり、1件でも多くの被害を防ぐための、啓発の一助になれば」と話している。
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