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公開日:2019.05.31
報恩寺
古式に則り晋山式
おたすけ観音復興目指す
「おたすけ観音」で知られる曹洞宗陽廣山(ようこうざん)報恩寺(寺尾南2の10の1/瑞海良隆(ずいかいりょうりゅう)住職)で、住職就任式となる「晋山式(しんざんしき)」が古式に則り、5月17日と18日の2日間かけて行われた。晋山式本番となる18日には稚児行列をはじめ、就任の辞令や赤い衣の着用が許され与えられる「緋衣伝達(ひえでんたつ)」などが執り行われた。
「山(寺)に晋(すす)む式」と書く晋山式は、文字通り新しい住職が寺院に入るための儀式。寺によっては短縮して行われることもあるが、報恩寺では古式に則り2日間かけ行った。28世の長男である29世・瑞海住職は3年前にその座を継いでいるが、先代の3回忌となるタイミングで晋山式の準備を進めていた。
初日の17日は首座(しゅそ)(一番弟子)である住職の長男の入寺式や、鎮守への式の成功祈願、18日の配役発表などが行われた。式典本番となった18日には、寺尾南自治会館から稚児行列とともに寺に向かい、晋山式を執り行った。
その後、運営方針やどう法を説いていくか等を問い住職の力量を見定める「晋山開道(しんざんかいどう)」や、決められたテーマに沿って首座が禅問答を行う「法戦式(ほっせんしき)」も繰り広げられた。
古式の中にも住職のこだわりが組み込まれており、稚児の記念撮影をした「白山妙理大権現」を描いた巨大スクリーンは、その一つ。また、関係者が着た法被には、おたすけ観音の「梵字」と曹洞宗開祖・道元禅師が好んだという「梅」、住職の名前の一字「海」を表す「波」が描かれ、そのまま進呈されている。
瑞海住職は「これから色々な催しを企画し、皆様がこの法被を着る機会を作れたら」と思いを語る。現在200体あるおたすけ観音を増やし「千体観音」を目指すほか、今は使わなくなった「舟で渡る洞窟」を取り入れた巡礼コースを整備しおたすけ観音を再び盛り上げる構想を練るなど、地域に開かれた寺院を構築していく考えだという。
報恩寺は、慶長7年(1602年)に開山された、400年以上続く寺院。おたすけ観音は先々代が戦時中に感じた観音のご利益を分け与えるため境内に設置したもので、第二次世界大戦中には多くの参拝者が訪れていた。
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