生活保護費の基準額引き下げに伴い、市町村が行っている小・中学生への就学援助に影響が懸念されている。愛川町の就学援助実施状況について当紙が町教育委員会に取材したところ、今年度、基準額引き下げにより援助を受けられなくなった人数はゼロだった。
学校教育法では、保護者の経済状況によって子どもの教育の質が左右されることを防ぐため、市町村が必要な援助を行うことを求めている(学校教育法第19条)。就学援助の対象者は生活保護法に規定される「要保護者」と、要保護者に準ずる程度に困窮していると認められた「準要保護者」で、準要保護者の認定基準は各市町村が規定している。
多くの自治体は生活保護費の基準額に一定の係数を掛けたものを認定基準としており、愛川町の係数は1・3となっている。
この就学援助の目安となる生活保護費の基準額が2013年から段階的に引き下げられており、文部科学省は全国の自治体に影響が出ないように対策を求めている。
愛川町の支援状況は
愛川町では2015年度、小・中学生588人に就学援助を行っている。支給額の平均(年額)は小学生が約5万7千円で、中学生は約7万3千円だった。
町教育委員会教育総務課によると、愛川町では生活保護費の基準額引き下げに伴って就学援助が受けられなくなった児童・生徒はいなかった。
人口の多い大都市では世帯収入も様々で、支援を受けられなくなる世帯が出る可能性があるものの、町教育委員会が支給世帯等へ調査した結果、愛川町では、すぐに支給が打ち切られる恐れのある世帯もなかったという。
だが、今後も生活保護費の基準額が下がり続ければ、就学援助を受けられなくなるケースが発生する恐れはある。同課では「基準額が下がり続けるなら対策は必要。係数の見直しや、支援を受けられていた時の基準の継続措置なども考えていかなければいけない」と対策を視野に入れている。
町PTA連絡協議会や町子ども会連絡協議会の会長を務めた町議会の渡辺基議員は「これから先、子どもたちへの支援が打ち切られないように、町議会としても万全の対応をするように、教育委員会へ働きかけていきたい」と話す。