任期満了に伴う横須賀市議会議員選挙が今月21日に投開票され、新たな顔ぶれが決まった。1議席減となった定数40に対して、50人が立候補。人口減少対策、経済活性、教育福祉の充実など、各候補者が主張を繰り広げた。投票率は前回(2015年/46・59%)を下回る42・79%と過去最低を記録。市政の課題は山積しているものの、明確な争点がなく、有権者の関心は高まらなかった。今回の結果で自民党の現職の1人が議席を失った一方、前市長の吉田雄人氏と距離の近い候補者が8人当選。次の会派構成が注目される。
最多得票
2年前の市長選挙と同時に行われた補欠選挙で初当選した田中洋次郎氏は、6千票の大量得票と当選確実の報を受けると、久里浜駅前の事務所で支援者らと喜びを爆発させた。
選挙戦では、前回と同様にオレンジのイメージカラーで有権者への印象づけを行った。掲げたスローガンは「いくぞ!横須賀」。次世代を担う人材を育成する「教育都市」、人生100年”現役”時代を実現する「医療・福祉都市」を主要政策として前面に打ち出し、支持を求めた。農業分野に障がい者を働き手として迎える「農福連携」、プログラミング教育の先進的な導入など、議員生活の中で実現した実績も強調した。
トップ当選を決め、支援者らを前に行った挨拶では「次のステージに向かって取り組みを前に進めよう」と語った一方、低投票率だったことにも触れ「これが今の市政の現実。横須賀をよくしよう」と力強く呼び掛けた。
女 性
出馬した女性候補4人の中で、最多得票を獲得した小幡沙央里氏。前回から300票以上積み上げ、2位当選を果たした。
2期目の挑戦に際し、真っ先に掲げたのは「子どもの育ちを支える」。昨年12月に出産し、文字通りリアルタイムでの「当事者目線」が増えた。選挙期間中は公園や集合住宅の前でも政策を訴え、子どもたちの声にも耳を傾けた。一方で、街頭などで反応があったのは、介護など地域福祉に関わる内容。財政が逼迫する中で、「厳しい状態の人が置いていかれてしまっている」との危惧と、市の課題・政策のズレも感じている。
新たな構成となる市議会については「緊張感を持って議会の役割を果たしたい」と語る。女性市議の割合は前回(約15%)から下げてちょうど1割。多様性のある議会・社会に向け、市民の声を届けていく。
最年少
25歳の最年少で初当選を決めた竹岡力氏は、ハイランドの事務所で支援者と喜びを分かち合った。
大学生の頃から政治リーダーを育成する「日本政策学校」で学び、高校生や大学生発の政策立案コンペを主催するなど、若い世代の中で存在感を示してきた。
今回の選挙戦では、若者と政治を繋ぐ架け橋になることを訴える”マラソン遊説”を展開して若さと行動力をアピール。「平均年齢55歳」という議員の高齢化に一石を投じた。
本人が掲げる政策の一丁目一番地は「教育で選ばれるまち」。教育サービスの大手企業での経験を活かし、英語教育の重点化やSDGs授業の必須化など、先端の取り組みを横須賀に持ち込みたいという。
雪 辱
開票も終盤に差し掛かった午後11時過ぎ、久里浜の事務所に当確の報せが届くと支援者らは歓喜に沸いた。前回の選挙で涙を飲んだ工藤昭四郎氏。約700票を積み上げ雪辱を果たした。「選んでもらった責任の重さを噛み締めて取り組んでいきたい」と力強く発した。
人口減少を最重要課題ととらえ、市内雇用創出の必要性を一番に掲げて選挙活動を展開してきた。海上自衛隊を経て米海軍横須賀基地に入職。約35年間勤め上げ、先月31日に早期退職し覚悟を決めて臨んだ。前回の落選から4年間駅立ちを続け、選挙戦では自転車で地元久里浜や基地に近い中央・汐入エリアを中心に奔走。日に焼けた肌と枯れた声が厳しい戦いを物語る。
「若い世代も、定年後も雇用があるまちを目指して取り組んでいきたい」と意気込みを話した。
追い風
横須賀市議選初挑戦で、立憲民主党の公認を受けて立候補した木下義裕氏。実質の活動は選挙期間を含め2週間程度。知名度の低さに不安を抱いて挑んだ戦いだった。
市内全鉄道駅前を中心に広範囲で辻立ちを行い、党が訴える「まっとうな政治」を掲げ、横浜市での市議を務めた経験をPR。市民と握手をしながら直接語りかけた。
開票当日は自宅兼事務所で党関係者と待機。固唾を呑んで待つ中、午後11時半過ぎに当確の報せを受け、万歳をして祝った。「これからの4年間、市民の声に耳を傾けながら議員経験と教員経験を生かし、教育を支点にした人口減少対策を提言していきたい」と意気込んだ。
数字で振り返る選挙
投票を締め切った21日の午後8時過ぎ。開票所の横須賀アリーナ(不入斗)には市内各地から続々と投票箱が搬入された。9時から一斉に開票作業=写真=がスタートし、結果が確定したのは22日の午前0時1分。開票事務に関わったのは193人、各投票所の事務従事者は851人だった。
市選挙管理委員会によると、市議選の執行予算は2億1901万3千円。内訳はポスター掲示場(630カ所)設置費5414万4千円、選挙公報と投票案内・投票用紙作成に計1329万5千円、候補者の選挙運動にかかる公費負担は8278万4千円だった。
期日前投票率アップ
投票率全体では補選を除き過去最低だったが、期日前は14・26%で前回(12・36%)を上回った。横須賀モアーズシティ内に公共施設外で初めて期日前投票所が設けられた影響も大きいとみている。地域別で最も高かったのは山科台自治会館が42・08%、久里浜台自治会館41・59%、光風台町内会館38・40%。低い順には逸見小学校17・28%、常葉中学校18・42%、田浦小学校20・46%だった。
当選者の平均年齢は50・5歳で、前回(52・56歳)より若返った。
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