でこぼこ道の子育て記 9.診断から現実の「生活」へ一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
引っ越しの準備を進めつつ迎えた義父の2度目の受診日。この日も子どもを預けることができず連れていくことに。アルツハイマーという診断は既に出ていたので、この日から心療内科へ。診察室の前で待っていると名前を呼ばれ、「お父さん呼ばれたよ。入ろう」と声をかけると「…うん」と不安げな表情。中に入ると、物腰の柔らかそうな若い先生が迎えてくれました。「そんな緊張しなくても大丈夫ですよ」との言葉に表情は和らぎ「いや〜緊張しちゃうよ」と笑顔が出たのでホッとしました。そして簡単な問診が終わり、私が残って検査の結果を聞きました。
先日撮ったMRIの写真を見ながら、先生は「MRI、CT、長谷川式問診、3つの結果から見て若年性のアルツハイマーで間違いないでしょう」と、丁寧に説明してくれました。「前頭葉、側頭葉、海馬の萎縮がかなりみられます。今の段階では、まだ初期の方だと思いますが、年齢がお若いので進行もやはり早いかと」。私は「はい」としか答えられませんでした。それから薬の説明があり、あくまで現状維持をするためのものだということ、身体に合うか診るため、1週間後に再受診すること…。私は、どこか頭の遠くの方でその言葉を聞きながら、心の中は焦っていました。「もっとこの病気ついて勉強しなくては。知らない・わからないでは質問する事も出来ない―。とにかく早く引っ越さないと」。そんなことが、ぐるぐると駆け巡っていました。 -次回に続く
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