直径2m大の「平胴太鼓」を打ち鳴らす小柄な女性―。昨年6月に長野県岡谷市で開かれた「第50回世界和太鼓打ち比べコンテスト」女子大太鼓ひとり打ちの部で最優秀賞(文部科学大臣賞)を獲得したのが、小原台在住の栗田紘子さん(37)=写真。「太鼓のまち」として知られる岡谷で続く伝統の大会で頂点に輝き、今月5日には上地克明市長にその結果を報告した。「リズムや躍動感が好き」という市長と”太鼓談義”に花を咲かせ、「コロナの流行が終息したら、景気づけにぜひ市内で披露してほしい」との要望も受けた。
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川崎市出身、小学6年生の時に、地元のお祭りで耳にした「野川親子太鼓―大地―」の演奏。その一団にいた友人の「叩く姿が輝いて見えた」。すぐに自分も入団し、その世界に魅了されていった。子どものリーダーも務めて約8年間在籍。20代では藤沢市を拠点とする「相州神童太鼓」へ。奏者・指導者として技術を研鑽するとともに、作曲や舞台演出も挑戦した。「一緒に叩いてみんなで繋がることも醍醐味」。所属する「太鼓集団 毘沙門」では学校の公演活動も。地元横須賀では「和太鼓―須賀楽座(すからざ)―」を立ち上げ、演奏の場を模索する。
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岡谷の大会へは2015年から5年連続で出場。18年も1位だったが、19年は男女の出場者の中で1人だけ選ばれる「最優秀賞」に輝いた。女性では大会史上初。「ずっと男性が獲ってきたので信じられなかった」と振り返る。
披露したのは、巴御前をモチーフにした「巴」というオリジナル曲。女性らしいしなやかさや内に秘めた力強さ、そして男性的な勢い―を表現した。「凛とした強さを音に乗せるのが、私のスタイル」と話した。
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結婚で横須賀へ。大会への出場を勧めてくれたのは夫。「いつも引き上げてもらっている」と感謝の言葉を重ねる。
大きな音と振動のため、なかなか室内では練習できず、三浦市の三戸浜にある畑で練習することも。地元で活動を増やすにつれて、国内の太鼓集団の多くがレパートリーのひとつとして披露する「ぶちあわせ太鼓」が三崎で生まれたものと知った。「『発祥の地』の存在も伝えていきたい」。そんな想いも強くしている。
また、和太鼓の製造に使う木材が減ってきている現状を受け、植樹にも取り組む考え。太鼓を軸に、自分の「できること」を広げているところだ。
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