コロナ禍で売上減に悩む観光業界を支援するため、政府が展開する「Go To トラベル」事業の一環として、今月1日から運用開始となった「地域共通クーポン」。旅先での食事や買い物などの出費を国が負担する仕組みだが、横須賀市内ではその受け皿となる加盟店の登録が低調だ。現状ではチェーン店などに偏っており、手間が掛かる登録申請が事業者に浸透しない原因の一つとなっている。
国が旅行代金の50%相当を補助するGo To トラベル事業。旅行代金の35%が割り引かれ、残りの15%は旅先にある飲食店や土産店、観光施設、交通機関などの支払いに使える地域共通クーポンとして付与される。
使い道に困惑の声
クーポンは、旅行業者または宿泊業者から旅行客に配布され、宿泊当日とその翌日、日帰りの場合は当日のみ使用可能。対象となる事業者は、Go To トラベル公式サイトで確認でき、10月5日時点での横須賀市内の登録店舗・施設は80カ所(バス・タクシー・ハイヤー事業者は6社)となっている。
しかし、その大半を占めるのは、全国展開する大手スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどで、市内にしか存在しない店舗や施設での使用は限られる。ある旅行者は「使える店が少なくて、予想以上に使いづらい。ただの紙切れになってしまうのでは」と不安を口にする。
またクーポンには、紙の商品券とスマートフォン用の電子クーポンの2種類があり、釣り銭は出ない。登録事業者の半数は紙のみの対応で、使い勝手が良いと思い電子クーポンを選んだ旅行客は、より使い道に困惑しているのが現状だ。
宿泊業者側の懸念
クーポン登録事業者の内訳について、市商業振興課に確認すると「確かにご当地感があまりないように思うが、事業者を管理しているのはあくまで観光庁のGoToトラベル事務局。特に国からの指示はなく、市としては先月、各商店街や商工会議所、観光協会などへの情報提供のみ。これから登録店が増えることを期待したい」という。
また、事業者の登録申請は公式サイト内から行うため、インターネットに精通していない高齢のオーナーなどにはハードルが高い。仮に申請できたとしても、事務局からポスターやステッカーなどが梱包されたキットが届いてはじめてクーポンの運用が可能となるため、「申請済みだが、事務局の登録に時間が掛かる」という店舗もある。
旅行客にクーポンを配布する立場にあるホテルニューヨコスカ(本町)の常務取締役・長尾幸香さんも懸念を抱く。「この2カ月、ほとんどの人がGoToトラベルを利用している。旅行には外食やマッサージなどがつきもので、クーポン加盟店が少ないとクレームになるのではと心配している。登録申請は手間だが、集客を呼び込むチャンスなので、もっと広がってもらえれば」と事業者に呼び掛けている。
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