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横須賀・三浦 コラム

公開日:2022.07.22

よこすかでジェンダーを考える
性差を「差別」につなげない
#7 横須賀市の公立小中での取り組み

  • 市内商業施設のランドセル売り場。(一社)日本鞄協会ランドセル工業会によると、2022年の男の子の人気カラーは、黒に次いで紺・青で例年あまり変わりないが、女の子は紫(薄紫)・桃色に赤・水色と続き、年によって変化があるそうだ。現在のようなカラーバリエーションになったのは、20年ほど前からだという。

 小学生の登下校の様子を見ると、目に入ってくるのがカラフルなランドセルの色。男の子は黒・女の子は赤―という性別での色分けのあった時代を通って来た親・祖父母世代とは異なる「文化」があるようだ。「ジェンダー」の視点で、今の学校現場はどのように対応しているのか―? 横須賀市教育委員会に聞き取りをしました。



名簿は男女混合



 新年度、各家庭に配られる学年の名簿を見ると、その並びは50音順。市教委では2003年度に「出席簿記入の扱い」を改め、50音順に記載するようになった。これは「男女混合名簿」と言われるもので、変更の理由は「男子が前、女子が後ろ」などと性別で順番を決めることが、性差による役割分担の固定化につながるからだという。また、席順は「男女別にする」という取り決めはなく、名前の呼び方についても男女問わず「〇〇さん」と呼ぶことを基本としているそうだ。



 市立中学校をみると、「制服」にもジェンダー視点が取り入れられている。従来は、市内の学校の大半が男子生徒がいわゆる詰め襟(学ラン)で、女子生徒がブレザーだったが、現在では、男女区別なくズボン型・スカート型の制服を選択できるようになっているという。その流れもあり、ここ10年前後で制服を改定する学校が増えている。変更内容については各校に任されているが、男女共通のデザインを採用することで、性別に違和感を抱える生徒に配慮する狙いもある。



 また、市教委では20年度に中学校の「学校の決まり(校則)」について、性差を含む記載の見直しを図るよう通知するなど、ジェンダー(社会的性差)の平等という視点を学校運営に取り込んでいる。



生活の中のジェンダー



 横須賀市は中学生向けに「男女共同参画」冊子を制作している。市の人権・ダイバーシティ推進課がまとめたもので、例えば道徳科では「人とのかかわりや相互理解」について考える授業で、社会科(公民)では、平等権を学ぶ場面で教材として活用しているという。今年度改訂された内容には、男女共同参画についての「気付き」を世界から日本、地域や家庭へと落とし込み、より身近に具体的に考えられるよう構成している。また、「LGBTQ」という言葉で表現される多様な性や横須賀市のパートナーシップ宣言証明制度についても取り上げているという。



 *  *  * 



 以前の連載記事で、「学校生活等でリーダーになる女性は今や珍しくもないが、社会に出ると状況が変わり、男性も女性もジェンダーバイアスにとらわれてしまっているのでは」との市議の言葉を取り上げた。ジェンダー平等には「性別にかかわらず一人ひとりが個性と能力を発揮できること」という視点がある。こうした環境で育ってきた子どもたちが、これからどのような社会を描いていくのだろうか。

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