横須賀・三浦 コラム
公開日:2026.02.20
わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編
【10】妹が、障がい者になった日「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」
この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。
ほんの少し前まで幸せが家の隅までぎゅうぎゅうに詰まっていたのに。妹に見られる成長の遅れ、個人の度合いでは済まされない明らかな異常。どれだけの希望的観測や楽観的思考も歯が立たない。何度目を擦ろうとも、頬をつねろうとも消えてはくれない─。そんな現実が、あらゆる希望的な可能性を根絶やしにした頃、家族の間に残っていたのは空虚だけでした。どれだけ悲観しても、祈っても、時間は進んでいく。当時の妹の異常を否定することは、ありのままの妹を否定することと同義でした。
妹に障害はあるのか。誰も言葉には出さないけれど、家族の誰もが考えていたこと。そんな雰囲気が家に住み着いた頃、両親は妹の障害の有無に関する診断へ出かけていきました。その日、学校から帰った私を「おかえり」と迎えてくれた母親の顔は、笑っているはずなのに笑いきれない表情で、目の周りは赤く腫れあがっていました。
まるで恵方巻を食べている時のような静寂に包まれたその日の夕食。年子の妹と弟は怒られる時と同じ空気に慄いていました。母親が口火を切りました。「お前たちの妹には障害がある。だからお前たちと同じようにはなれない。でも、それが不幸ではないし、妹は不幸ではない」。涙目で聞いていた父親が、母親と一緒に泣き崩れました。私以外の兄弟は意味を理解できない様子でしたが、私は次第に落ち着き、消えていったはずの感情が心の中で再燃するのを密かに感じていました。 -次回に続く
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