横須賀・三浦 コラム
公開日:2023.04.21
"海の隼"をあるく
〜按針が見たニッポン〜01 臼杵編(1)作・藤野浩章
「たしかにヤポンス。ジパングだ」(第一章)
◇
大分駅から各駅停車でのんびり走ること40分。日豊(にっぽう)本線の佐志生(さしう)駅は、高台の集落の端に位置する無人駅だった。駅を出て、時折デコポンなどが鮮やかな色を見せるなだらかな丘陵地帯をゆっくり下ると、20分ほどで潮の香りが漂ってくる。
海が見えた。豊後(ぶんご)水道だ。真っ白な砂浜に出ると、すぐ沖には三ツ子島と呼ばれる3つの小島が並んでいる。目の前の海は春の暖かな陽にキラキラと輝いていて、何時間でも見ていられるような美しさだ。
さらに5分ほど海沿いを歩くと、尾本(おもと)港という小さな漁港にたどり着いた。訪れたのは3月の土曜日。小型の漁船が寄り添い合うようにして体を休める傍(かたわら)らで、岸壁から釣り糸を垂れる人がちらほら。背後には低い丘が海すれすれまで連なっている、典型的な漁師町の佇(ただず)まいだ。
この場所が突如として歴史的大事件の舞台になったのは、今から423年前の春。何とあろうことか、オランダからやって来た船「リーフデ号」が難破した挙げ句に漂着したのだ。
漁港の沖、すぐ目と鼻の先に浮かんでいる「黒島(くろしま)」がまさにその現場。横須賀の猿島をコンパクトにしたような形の島が、その後の日本の運命を大きく変える発火点になったのだ。
いよいよ、黒島へ上陸だ。今は観光地化されていて、渡船(とせん)があるようだ。乗り場に書いてある電話番号にかければ、船を出してくれるのだという。
「今から?・・・エンジンが調子悪くてね、今日はダメだねえ」
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