横須賀・三浦 コラム
公開日:2023.05.19
"海の隼"をあるく
〜按針が見たニッポン〜02 臼杵編(4)作・藤野浩章
国宝の磨崖(まがい)仏でも知られる臼杵(うすき)は、古くからの町並みや老舗の醤油工場が残る落ち着いた町。人気の醤油ソフトクリームには人だかりが出来ていた。ここには日本初の「修練所」など、かつて大友宗麟(そうりん)によってキリスト教を中心とする経済都市が存在していた。今はその雰囲気はあまり感じないが、古民家を活用したおしゃれなカフェや洋食屋があちこちにあり、歩くだけでも楽しい。和洋折衷(せっちゅう)の心意気というのが、交易で莫大な富を得ながら歴史に翻弄(ほんろう)されてきたこの地のスピリットなのかもしれない。
そこに、アダムスたちが突然現れた。当時の城主は太田一吉(かずよし)(重正)。宣教師が処刑を強硬に主張する中で、この突然の来客の運命は太田に託されたのだった。
交易で外国人に慣れていたことに加え、彼が豊臣譜代でなおかつ石田三成と懇意だったこと、さらに秀吉が没して2年という混乱期ゆえの"下心"があったこと...これらが複雑に絡み合って、やがて事態は予想だにせぬ方向へ向かっていく。
臼杵城からほど近い場所にある観光交流施設には、太田がリーフデ号の船員から送られたという木造「エラスムス像」のレプリカが展示されている。実物はどういうわけか栃木・佐野の寺が所蔵し、現在は東京国立博物館にあるというのも興味深いが、全員処刑の危機をひとまず脱した乗組員一行は、船の守り神を太田に寄進して謝意を表したのだった。
彼らの命を救ったのは、徳川家康。「関ヶ原」の半年前という絶妙なタイミングで、アダムスは大坂で運命的な出会いを果たすことになる。
ピックアップ
意見広告・議会報告
横須賀・三浦 コラムの新着記事
コラム
求人特集
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!












