横須賀・三浦 コラム
公開日:2023.07.28
"海の隼"をあるく
〜按針が見たニッポン〜14 浦賀編(5)作・藤野浩章
浦賀駅前から馬堀(まぼり)へ至ると、浦賀道がどこだか分からなくなった。
何百年もの時間と都市化の流れがあるのでやむを得ないが、歩を進めるうちに"比較的細くてクネクネしている道"を選べばそれが浦賀道だろう、という曖昧な結論に達した。実際、まっすぐに整備された道とは明らかに違う道を進むと急に「浦賀道」の表示が現れるのが何とも楽しい。そういう意味では、馬堀から上町に至るルートは比較的容易に見つけられる、というか思い込める。
それにしても、やけにカーブが多い。これでは道の周囲に建物を建てるのは至難の業。そもそも暮らしにくいのでは?なんて思いながら、そうだ、ここは海岸線だったんだと思い出した。そう、馬堀から横須賀中央付近までは広大な埋め立て地だったのだ。現在の国道16号線あたりがおおむね当時の海岸線だったらしく、それならこのクネクネ具合も納得だ。馬堀海岸(・・)や米(よね)ガ浜(・)、といった地名は今や違和感しかないが、アダムスが歩いた当時は美しい海が見渡せたはずだ。
やがて浦賀道は急激に高度を上げる。江戸時代には三浦半島中央を横断して西海岸へ抜ける道、東京湾沿いに金沢へ至る道など複数のルートがあったらしいが、いずれにしてもここからは山岳地帯。どの道を通っても、江戸への道は大変なのだ。
県立大学駅のあたりはかつて海に突き出した断崖だったという。この高台から見る猿島はさぞかし美しい眺めだったろうが、アダムスにそんな余裕はあったろうか。この後、行く手にとんでもない坂が登場する。
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