神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
横須賀・三浦版 公開:2024年2月23日 エリアトップへ

"海の隼"をあるく 〜按針が見たニッポン〜41 平戸編(2)作・藤野浩章

公開:2024年2月23日

  • X
  • LINE
  • hatena
崎方の丘から見た平戸城
崎方の丘から見た平戸城

 浦賀を世界貿易の拠点に、と考えていた家康と按針を出し抜いて、まんまとオランダ商館、後にイギリス商館の誘致に成功した平戸藩。領主の松浦(まつら)鎮信(しげのぶ)は"海賊の首領(ドン)"として、巨額の利益を上げることになった。

 按針はオランダ商館の顧問として平戸に滞在するが、商館に同居するのではなく、一線を画すために崎方(さきがた)と呼ばれる丘にある平戸藩の役人・木下弥次右衛門(やじえもん)宅の離れを根城にする。ここは後に按針終焉(しゅうえん)の地となるが、現在は正確な位置が分かっていないという。丘の上からは対岸にある平戸城がほぼ同じ高さに見え、眼下にはオランダ商館がある。ほんの数百メートルの範囲の中で、幕府、松浦氏、オランダ、イギリスの思惑が混ざり合い、その渦中に按針がいたのだ。

 そんな時、あろう事かノバ・イスパニア(スペイン領メキシコ)の船が房総に漂着。同国が持つ最新の金銀鉱山技術に興味を示す家康を見て、旧教国の進出を食い止めたい按針は板挟みになる。幕府を背負いつつも、一人の"世界人"として義を通そうとする按針の苦悩は、読んでいてハラハラしてしまう。

 そしてもう一つ。西国大名が所有する五百石積み以上の大船をすべて没収し、今後も建造を禁ずる命令が突如として幕府から発せられる。これで平戸藩の貿易は打撃を受けるが、この時、朱印状を得て貿易を行っていた船は七十五家、のべ百六十九隻あったという。

 取りも直さず、これは幕府の貿易独占に加え、西国大名の力を削ぐことが目的だった。そう、家康最後の大仕事が迫っていたのだ。

横須賀・三浦版のコラム最新6

OGURIをあるく

OGURIをあるく

〜小栗上野介をめぐる旅〜第27回 江戸編【5】文・写真 藤野浩章

12月6日

OGURIをあるく

OGURIをあるく

〜小栗上野介をめぐる旅〜第26回 江戸編【4】文・写真 藤野浩章

11月29日

OGURIをあるく

OGURIをあるく

〜小栗上野介をめぐる旅〜第25回 江戸編【3】文・写真 藤野浩章

11月22日

OGURIをあるく

OGURIをあるく

〜小栗上野介をめぐる旅〜第24回 江戸編【2】文・写真 藤野浩章

11月15日

わたしのまちでいきる

わたしのまちでいきる

【32】目標クリアで「認定証」「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

11月15日

OGURIをあるく

OGURIをあるく

〜小栗上野介をめぐる旅〜第23回 江戸編【1】文・写真 藤野浩章

11月8日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 12月6日0:00更新

  • 11月29日0:00更新

  • 11月22日0:00更新

横須賀・三浦版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

  • OGURIをあるく

    OGURIをあるく

    〜小栗上野介をめぐる旅〜第27回 江戸編【5】文・写真 藤野浩章

    12月6日

  • OGURIをあるく

    OGURIをあるく

    〜小栗上野介をめぐる旅〜第26回 江戸編【4】文・写真 藤野浩章

    11月29日

横須賀・三浦版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年12月6日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

X

Facebook