横須賀・三浦 社会
公開日:2025.08.15
追浜駅前再開発
まちの行く末に熱視線
シンポジウムに住民ら250人が参加
追浜では、駅前のバスターミナル構想(バスタ)や建設予定の高層複合施設など、複数の再開発計画が進行している。しかし今年7月には、日産自動車追浜工場の生産ライン停止が発表されるなど、まちは大きな過渡期にある。追浜の未来はどのように変わるのか、行政や教育研究機関などが集う「追浜えき・まち・みちデザインセンター」は8月3日、再開発のビジョンや内容を広く市民と共有するシンポジウムを追浜コミュニティセンターで開き、関心を寄せる地域住民らを中心に市内外から252人が参加した。
駅前バスターミナル10年以内竣工へ
「日産の問題が追浜に直面しているが、乗り越えてきた事例もある。追浜のバスタを拠点にどのようなまちづくりが進められるかを考えていく時だ」。計画途中で事業者が撤退したが、現在着工まで進んだ広島県呉市のバスターミナル計画の例を引き合いに羽藤英二同センター長は開会のあいさつで力強く話した。追浜観光協会の下澤敏也会長は「市民の声が反映されることもある。積極的に意見を頂けたら」と呼びかけた。
バスタ計画は、駅前の機能強化を図るべく、横須賀市と国土交通省関東地方整備局が主体となった事業。バス停を集約し、公共施設や商業施設を立体的に配置する「地域密着型バスタ」を設ける構想だ。1階はバス乗降所などのターミナル、2階には駅直結の周遊性の高いデッキを設置。商業施設や子育て支援施設も導入することで、駅前での滞在時間を増やし、利便性を向上させることを目指す。
現状、追浜駅前は、バスや電車、自動車などさまざまな種類の交通手段が接続する「交通結節点」となっている。その一方で、それぞれの動線が錯綜しており、交通流動性に課題が残る。このような状態を解決しようと2021年3月に事業計画を策定。事業検討会の開催や、交通事業者との意見交換、民間企業の参画意欲をはかる市場調査、将来導入を見込んでいる「連節バス」の運行などの実証実験を行い、深度化を模索してきた。
これらを元に今年6月に改訂版を発表。追浜駅前交差点から追浜南町入口交差点までの0・7haをバスターミナルと決定した。用地測量や民間事業者の公募などを経て、概ね10年以内の竣工を描いている。
世代間分断ないまちに
座談会は2部形式で実施された。第1部では、羽藤センター長のほか、事業を市とともに進める国交省の職員も登壇。バスタだけでなく、周辺で同時進行している、国道16号線の駅前交差点整備や、複合高層施設2棟の建設が予定される「追浜駅前第2街区」などに触れ、「これらと一体的に進め、まちづくりをすることで追浜の地域をよりよくしていく」と話した。また追浜は、横浜との市境にあるなど「災害時、救援物資などを運ぶ重要な拠点になる」と強調。そのうえで「駅2階部分には、災害時の帰宅困難者へ向けた一時避難所整備も視野にいれている」と話した。
第2部では、育児サークル「Oppapamamaile」の神馬彩夏氏や下澤会長、(株)横浜DeNAベイスターズ野球普及・振興部の矢吹優一郎氏、関東学院六浦高校の学生らが登壇。同センターが描く30年後の追浜の姿を実現するためにできることを確認した。
下澤会長は昔ながらの商店街での会話など対面コミュニティーの減少を危惧。「追浜の”人”に会いに来る。そんなまちにしたい」と話した。矢吹氏は球団経営とまちづくりの一体化を視野に、球団がまちのシンボルになることを目標に掲げる。六浦高の生徒が「変化をおそれないまちに。新しいことへのワクワク感を共有し多様な世代が楽しめる。そして世代間の分断をなくし、誰もが自由に意見を出し合えるような、ごちゃ混ぜの環境をめざしたい」と希望を口にすると、会場は大きな拍手に包まれた。
1部と2部の間には、会場に設置された事業計画パネルや追浜地区を模型にした展示などが行われ、参加者らは疑問や質問を担当者らにぶつけていた。開発の経過とまちの変容に関心があり、参加したという湘南鷹取在住の蒲谷茂さん(80)は、鷹取方面から16号線に出る雷神社前の踏切の信号の間隔に言及。特に通勤時は交通渋滞が起こりやすく、「まちを見つめなおすこの機会に検討してくれたら。また、今後駅西側にもより一層目を向けてくれたら」と希望を話した。
ピックアップ
意見広告・議会報告
横須賀・三浦 ローカルニュースの新着記事
コラム
求人特集
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!












