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三浦版 公開:2016年1月15日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第98回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2016年1月15日

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神社の前浜にある大石(天神丸)
神社の前浜にある大石(天神丸)

 「霊川寺」のお地蔵さまに新年のご挨拶をして、寺を出ますと、まっすぐ西へと向かい、海辺へ出る道と寺の脇にやゝ狭(せま)いが、風情のある里道があります。筆子は里道へと進みました。道の両側には静かな里を思わせる家並みと庭木も見られる静かなたたずまいの道でもあります。やがて、少し開けた地に出ました。右側に鳥居が見られます。

 「上諏訪社」です。昭和十年に発行された「三浦郡神社由緒記」によりますと、祭神は「建(たけ)御名方(みなかたの)命(みこと)」で、例祭は七月十五日とあります。また、次のようにも記しています。

 「境内一千三百九坪を有し海岸より松並木の参道を進めば権現造の社殿海に面して立ってゐる。老樹茂り聳(そび)え幽邃(ゆうすい)閑寂(かんじゃく)の霊域をなしてゐる。」とあります。また、勧請は元禄六年(1693)とも記され、明治四十一年(1908)に、下諏訪社の祭神八坂刀売(やさかとめの)命(みこと)、新明社の祭神大日孁(おおひるめの)貴(むち)、山王社の祭神国(くに)常(とこ)立命(たちのみこと)、三島社の祭神大山祗(おおやまつみの)命(みこと)をそれぞれ合祀しています。

 神社の入口は海岸に面した道路きわにあります。その左前に、高さ五十センチ余り、巾も同じ程度の台座に「華表銘」と彫られた石碑が見られます。残念ながら他の文字は判読できませんでした。「華表」とは鳥居のことです。現在の鳥居は平成に入って新しくした鳥居ですが、以前は文化七年(1810)に造立されたと聞いています。その折りの「銘」(金石などに刻みつけた漢文の文句)であったのでしょう。海に面した鳥居から途中に道路を挟(はさ)んで、社殿まで約八十メートルの間に12基の石灯篭が並んでいます。中には風化がひどいものもありますが、厳粛(げんしゅく)な気分になる雰囲気です。社殿は入母屋式の三棟(拝殿・幣殿・本殿)の権現造りになっています。この神社の祭神である「建御名方神」は大国主(おおくにぬし)神と高志(こし)(新潟県糸魚川市)沼(ぬな)河(かわ)姫(ひめ)との間に生まれた御子神で、『古事記』などによれば、国譲(ゆず)りの際、信濃国の諏訪湖の地に至ったとされています。神名の「ミナカタ」は「水(みな)潟(かた)」に通ずることから、海辺を守護する神として祀られているのでしょうか。因(ちな)みに、三浦市では上宮田・向ヶ崎に、この地三戸、いずれも海を望む形で祀られています。

 上諏訪神社のすぐ前の海岸に珍しいものを見ることができます。土地の人は「天神丸」と呼んでいる大きな石で、縦三・三メートル、横一・三メートル、高さ一・三メートル程の大石です。文化九年(1812)に書かれた『三浦古尋録』(加藤山寿著)に「此社ノ前ナル浜ニ九尺四方モ有大石二ツ有、是ハ昔シ廻船積来ル処此浦ニテ難風ニ逢ヒ其時ヨリ有ト申伝フ」と記されています。

 一説には、江戸城築城のおり、石垣の中間を埋める石であったと言うのです。伊豆から江戸へ向かった船が強い西風のため浜辺で座礁したのではないかと言うのです。それに積載されていた石なのでしょう。

(つづく)
 

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