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三浦版 公開:2016年10月21日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第117回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2016年10月21日

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矢作の神明社
矢作の神明社

 「入江」から「矢作」へと歩を進めます。『初声八景』の一つに「矢作の帰帆」が挙げられています。往昔には湊(みなと)があって、『新編相模風土記稿』の「湊」の項目に「小名矢作にあり、故(ゆえ)に矢作湊と称す、又宮田湊とも呼ぶ」として、註に、下宮田村と相接するが故なり、濶(へだたり)(闊)三百間(約550m)とありますが、現在では埋めたてられていて、その面影は見受けられませんが、湊(入江)の中ほどにあった「波島」が、こんもりとした森と薮のように眺められ、かつての八景の一つ、「波島の夜雨」の雰囲気は失われています。

 「矢作」の里に入って、なぜ、「やはぎ」と呼名するのか、疑問に思ったのですが、異字に「矢矧(やはぎ)」があり、「矧」を「シン」とか、「は・ぐ」と読み、「矢を作る」の意味があることを知りました。ただ、『三浦古尋録』には「矢矯」の文字を使っています。そこには、「矢矯是ハ和田義盛馬場ノ跡」とあります。また、「矢矧ハ昔シ和田義盛此処ニテ矢ヲ作ラシム故ニヤハギト伝フ」とも記されています。

 得心をして、北側が傾斜地になっている道を西に向かって行き、民宿「浜路」の前に至ると、「関東ふれあいの道」の標識があり、「荒崎潮騒のみち」とも記され、「矢作入口バス停八00米」とも書かれています。ここから道が二つに分かれ、歩行の道は狭くなっています。少し歩くと、石造りの「神明鳥居」が見えてきました。30m先に石段があり、上に至ると静粛なる神殿があります。「天照大神」を御祭神とする「神明社」です。御祭神は大正七(1918)年九月に、小名の内田にある「白旗神社」に合祀されています。「矢作」に鎮座したのは、江戸期の元禄十四(1701)年、大井亀之助、角田権左衛門、角田新右衛門、八兵衛、太郎兵衛の五氏の創建と伝えられ後社殿破壊せるにより、大井三郎右衛門、大井磯左衛門の二氏が寛保元(1741)年に再建して神明社と称して崇敬して来たと、『三浦郡神社由緒記』(昭和十年発行)に記載されています。

 現在の社殿は正面に「神明宮」と書かれた扁額があり、拝殿の周囲に回廊がつけられ、本殿とからなる切妻妻入りの社殿となっています。境内の左側に、朱色の鳥居「稲荷社」が祀られています。社殿の右側は崖になっていて、今では枯れ枝などが詰まっているので不明ですが、人工的に掘った横穴で、あるいは古墳の類か?と思わせるものです。また、社殿の屋根に青銅製と思わせる、水の渦巻くような形をした「右三つ巴(ともえ)」が見上げられます。帰りに石造りの鳥居を確かめたところ、「元治元(1864)年の年号が刻字されていました。

(つづく)
 

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