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三浦版 公開:2017年1月27日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第123回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2017年1月27日

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神明白旗神社の鳥居と52の石段
神明白旗神社の鳥居と52の石段

 路線バスの通る国道一三四号線、長井方面行きのバス停「和田」の真向い、道路の反対側に寺の本堂が見られます。門柱に「日蓮宗 天王山 大泉寺」とあります。『初声の歴史探訪記』(浜田勘太著)の中に、寺所蔵の「寺明細帳」を紹介して、その由緒を次のように記しています。

 「当寺ハ応仁元(1467)年中、和田ノ住人内匠長又(たくみながよし)ト申者、日泉(にっせん)上人ノ教化ヲ享(うけ)、改宗シテ自ラ開基トナリ、一宇ヲ建立シ、日泉上人ヲ開山トシテ大泉寺ト称ス。」とあります。

 ただ、この寺は昭和十八年に火災に遭(あ)って、寺の縁起などが焼失してしまったと言われ、「寺明細帳」のみが火災から免(まぬが)れたもので、貴重な資料なのです。

 現在の本堂は、道路の反対側にあった「安楽寺」の薬師堂を移したものと言われています。寺の門柱の右脇に「南無妙法蓮華経」と日蓮宗独得の流れるような型で書かれた文字の下に「法界」の言葉も記されています。上は経文ですが、下の「法界」の意は「広大無辺のすべての世界」を指すのでしょうか。塔の左側面の上方に大きな文字で「当山廿四世、文浄院日静大徳」と刻字され、その下方に九人の方の戒名が記されており、右側面には「南無宗祖日蓮大菩薩」と大書されています。裏面には「寛政五癸丑(1793)稔(にん) 霜月(しもつき)(旧暦の十一月)下旬」と建立の日付が記され、下方に「天王山大泉寺 廿八世日通代」とあります。

 さらに、台座の方に目を移すと、正面には「施主」と書かれ、六名の方の名前が見られます。中に、「母」や「妻」との文字もあります。最後に「文浄院筆子中 惣施入」とあり、横の面に「世話人 又四郎 安右ヱ門」とも記されています。

 この題目塔は文浄院日静大徳上人のために「筆子中」(寺子屋の弟子のこと)が建立した塔だったのです。寺子屋の師匠は二十四世でしたが、建立は二十八世の日通上人の時となります。浜田勘太氏は『初声の歴史探訪記』の中で、日静上人の寺子屋は宝暦(1751〜64)から明和(1764〜72)の頃ではないかとしています。

 「大泉寺」の辺りは「和田の里区」とあります。寺の脇に国道から東へ向かう細い道があります。その道をたどって進むと、左側に石造りの鳥居が見えてきます。「神明鳥居」です。鳥居とは何か。『廣文庫』の中に『神道名目類聚鈔(るいじゅしょう)』をあげ、「鳥居ハ日ノ神天ノ石窟ニコモリ給ヒシ時、八百万(やおよろず)神謀(はか)リテ出御(ぎょ)アラン事ヲ祈玉(いのりたま)ヒ、ツヒニ木ヲ石戸ノ前ニ建テ、鶏(にわとり)ヲ其ノ木ノ上ニ居ラシメテ鳴カシム、所謂(いわゆる)此ノ木則チ鳥居ノ初(はじめ)也。故ニ鳥居ト云フ。」と言うことは、神域に入って、鳥の如く声を発する必要があるのかもしれません。こんなことを考えていますと、大きな鳥居と長い石段が目前でした。「神明白旗神社」の入口です。

(つづく)
 

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