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連載 第13回「『犬走り』の字名」 三浦の咄(はなし)いろいろ みうら観光ボランティアガイド 田中健介

掲載号:2018年4月6日号

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犬走りの地。前方の小屋辺りは横須賀
犬走りの地。前方の小屋辺りは横須賀

 南下浦町上宮田の地にいろいろの字名(あざめい)があります。三浦市の東にあたる「上宮田」の海岸に近く横須賀の津久井一丁目に接する処(ところ)は「今井原」、北西に向かって行くと「ふじ見」、「諏訪ノ上」さらに、「津久井四丁目」に接する処が「長作」。地図上で「長作」の北に当る処が「犬走(いぬっぱし)り」の字(あざ)になります。

 「今井原」からは登り坂を行った処で、あたり一面畑の台地です。北東に武山から続く山が見える広大な景色の地でもあります。接する「津久井」の地には「県立津久井浜高校」があります。

 この「犬走り」の地名について、『三浦の伝説と民話』(三浦市観光協会編)の中に次のような話が掲載されています。

 「三浦市南下浦町字今井原と横須賀市北下浦町字大町谷(現津久井)の接するところが両市の境界である。この境は、浜辺から稲妻型に曲がって山の台へと登っている。

 遠い昔、上宮田村の役人と津久井村の役人たちが村の境界のことで争った。あの山はこっちのものだといえば、相手が、とんでもない!あの山は昔から当村のものだ。それが証拠には寺の和尚が小僧の修行時代に古老から聞かされていた。いや庄屋の先代の話だと、山の頂きの松が境いだなどと、いつまでたっても決着がつかなかった。これを聞いた代官が『犬を浜から山に向けて走らせ、その跡を境界としてはどうか』と両村の役人の中に割って入り、結局、犬の走った跡をたどって境界を決め、永い間の争いにけりがついたと伝えられている。

 京急のガードをくぐった地点から登りの坂道にかけての附近一帯を、俗に『犬走り』と呼んでいる。」

 以上のことが、地名のおこりの話です。

 浜に面した国道から旧道を経て、真っすぐに歩いた先きに「諏訪神社」があります。かつて、この神社の境内に「駒つなぎの欅(けやき)」と称する木があって、里人がお伊勢詣りに行く時、神社に参拝して出発をする際、馬をつないでおいたと言うことでしたが、道路拡張のため切られてしまった。と言うことが、浜田勘太氏著の『南下浦の歴史探訪記』

に記載されています。

 かつての「上宮田」の人々は、この村境に近い神社に参詣し、旅の安全を祈願すると共に、家族や知り人等に見送られる地でもあったのでしょう。

           (つづく)
 

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