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東京大学三崎臨海実験所異聞〜団夫妻が残したもの〜 文・日下部順治その11 日米つなぐ位相差顕微鏡

掲載号:2018年6月8日号

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海を臨む実験所本館
海を臨む実験所本館

 話は再び団ジーンに戻ります。先日、ジーンの長女である「団みか」さんから快報が届きました。ジーンが三崎臨海実験所からお茶の水女子大を通じて愛用していた位相差顕微鏡の国立科学博物館(台東区上野)入りが決まり、同館の顕微鏡室に常設されるとの知らせでした。みかさんの妹・まりなさんは、団夫妻の跡を継ぎ、生物学の大家でしたが、既に故人です。このため、今回の対応にみかさんが大変苦労なさったようです。

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 戦後間もない昭和22(1947)年5月、団ジーンは、まだ幼かった次男・春実、三女・えみをともなって、10年ぶりの里帰りを実現します。

 戦争中どんなにジーンのことを心配したか…幼友達、カレッジの同級生、ウッズホール実験所の研究仲間、皆がジーンを待っていました。

 皆の間を走り回った後、帰国に際して研究仲間が、アメリカのバウシュ・アンド・ロム(ボシュロム)社によって開発された、この最新式の顕微鏡を勝磨のために持ち帰るようすすめます。新型の顕微鏡は従来の実験手法のように「ウニ」を殺してしまうのでは無く、その発生過程と細かな構造を生きたまま観察できるスグレモノでした。

 しかし、その価格は1千ドルもする高価なものでしたから、団ジーンの資力では購入できませんでしたが、そこへアメリカン・フィロソフィカル・ソサエティ(財団)が、支援の手を差しのべてくれたのです。その会長が、アメリカ発生学の創始者コンクリンであったことも僥倖でした。

 (戦後早い時期、アメリカに於いても試作段階だった最新の器械が、かつての敵国に渡ることを当然とするアメリカという国のオオラカさを私は感じます。)

 この顕微鏡をジーンは自身で使うつもりはなく、また周囲も勝磨のためと思っていましたが、一方の勝磨は「ジーンこそ使うべき」との態度でした(時を経て、結局そうなるのですが…)。

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 余談になりますが、団みかさんから、団夫妻に関わる【1】新しい材料・資料、【2】ご助言・ご指摘を折に触れ、たくさんいただいております。これは新たな事実を知る、貴重な「ニュース」です。

        (つづく)
 

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