三浦半島 草花歳時記 第21回 嫌なことを忘れる「ハマカンゾウ」 文・写真 金子昇
夏に入ると三浦半島の海岸に、ユリに似た「ハマカンゾウ」(別名「ワスレグサ」)の花が咲き出します。ハマカンゾウ(浜萱草)の葉は、冬でも枯れずに残っているので、同じ仲間で里地に生育する「ノカンゾウ」(八重咲きは「ヤブカンゾウ」という)とは区別できます。
中国料理の「金針菜(キンシンサイ)」の原料に萱草が使われますが、これは「シナカンゾウ」で、日本ではこれに似た「ノカンゾウ」を萱草に充てています。
万葉集に「萱草(わすれぐさ)わが紐につく香久山のふりにし里を忘れぬがため」とあり、萱草を「わすれぐさ」と呼んでいます。中国ではこの萱草を着物の紐に結びつけておくと、嫌なことを忘れるといわれており、また女の人がこれをつけていると男の子が生まれるという中国の言い伝えがあります。
カンゾウの仲間は、日本人にはあまり人気がないようですが、欧米人には人気があり、多くの品種改良がされ、「ヘメロカリス」という名で、5000種以上もつくられています。
|
|
|
|
|
|