逗子・葉山 文化
公開日:2011.05.27
復元模写
「伴大納言絵巻」に感嘆
早大名誉教授の中野幸一さんが実物披露
絵巻に描かれた応天門の大火。歴史的一幕が今、現代によみがえる―。
逗子市役所5階で市の主催する大学提携専攻講座「復元模写『伴大納言絵巻』を見る」が行われた。
この日は絵巻の復元模写を所有する早稲田大学名誉教授の中野幸一さんが講師を務め、絵巻にまつわる時代背景や歴史的価値を解説した後、当日の目玉である実物が披露された。
中野さんが所有する絵巻は約10mの絵巻3巻。原本(出光美術館所蔵)は平安時代の後期に制作され、800年以上の時を経ているため、剥落や欠損が著しいが、披露された模写絵巻は補筆復元してあるのが特徴。「模写というと剥落や虫食い部分もあわせて描くのが普通だが、欠けた部分が違和感なく復元されており、国宝の当初の姿を伝えるものとして資料的価値は非常に高い」と中野さん。
模写の閲覧が始まると、講座に参加した65人の参加者は列を作り、当時の様子を伺わせる精巧な模写を堪能。参加者のひとりは「こうしたものを直に見れる機会は滅多にない。素晴らしい」と感嘆をもらしていた。
国宝、伴大納言絵巻は「源氏物語絵巻」や「信貴山縁起絵巻」などと並ぶ日本四大絵巻のひとつ。平安前期の政治事件である「応天門の変」を描いている。模写は幕末の画家、冷泉為恭が手掛けたと見られている。
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