手にとった瞬間、思わず笑顔に。そんな木彫りの地蔵が仕事場の一角にずらり―。葉山町で長年にわたって木彫りの地蔵を作り続けている人がいる。一色在住でリフォームとインテリアを手掛ける「(有)オーサキ」を経営する大嵜健三さんだ。
大嵜さんが地蔵作りを始めたのは10数年前。元々木の質感が好きで趣味で木工をしていたところ、仕事先の知人が「こういうものもある」と教えてくれたのがきっかけだった。手先が器用で「子どもの頃から鎌倉彫も作ってる」という大嵜さん。8cmほどの角材に鉛筆で線を書き、見本もなく愛用の小刀1本で地蔵を切り出していく。1つ作るのにおよそ半日。仕上げはヤスリで磨き上げるのではなく、木の質感が残る程度に留めるのが”大嵜さん流”だ。「1本木だからムラもあるけど、それがいい」。なるほど棚に並んだ地蔵は形も大きさも同じものがない。しかしどれも表情豊かでひとつを手にとって見ると何とも愛らしい。
これまで2千個以上の地蔵を作ってきたという大嵜さんだが、宗教的な意味合いは全くないそう。「木と、作ることが好きなだけ。ただもらった人が笑顔になって喜んでくれればいい」。そんな思いから「幸せ地蔵」と名づけた。仕事場を訪れる人に一つ、また一つともらわれていき、手元に残ったのはわずか。「また作る。作るのは全く苦にならない」。
今では大嵜さんに地蔵づくりを習いに来る人もいる。「まぁ月に1回くらい。おしゃべりをしながらのんびりと」。地蔵が繋ぐ縁。仕事場に笑い声が響く。作家として木工をする将来は―と問われると「好きなことをやってるだけ。仕事にはならないよ」と笑顔を見せた。
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