幼児から中学生まで楕円球追いかけ
「両手でしっかり持って」「肩でタックル、逃げろ」-。
初夏の日差しに恵まれた19日、コーチ陣の指導のもと、元気いっぱいにグランドを駆け回る子どもたちの姿があった。地元の幼児から中学生まで33人が所属する「逗子葉山ラグビースクール」。現在週に1回、第一運動公園などで汗を流している。逗子葉山唯一のラグビースクールとして旗揚げして3年目。チームもようやく軌道に乗ってきた。
サッカーや野球が人気を誇る一方で、ラグビー、特にジュニア世代がプレイする環境は発展途上だ。県内にあるラグビースクールは現在18。逗子葉山にはこれまで小中学校を含めてチームがなかったという。そんな中、逗子在住で早稲田大学ラグビー部OBの鈴木壇さん(41)がチーム設立を思い立った。きっかけは6年後に日本で開催されるラグビーワールドカップ。「逗子葉山からも盛り上げよう」と知り合いのラグビー愛好家らに呼びかけたのが始まりだ。大学時代から「いつか地元でチームを立ち上げたい」という思いもあった。だがPRの甲斐なく設立当初集まったスクール生はわずか7人。年齢別に試合を組むジュニアラグビーは1チーム5人から12人が必要で試合すらままならなかった。
それでも鈴木さんに不安はなかったという。「知られていないだけ。やったら絶対に楽しい」。予想通り、子どもたちもすぐにプレイに夢中になり、その面白さを聞いた友達が一人また一人と増えていった。練習試合では小学校低学年の選手も果敢にタックルを狙う。土埃が舞い、ボールを抱えた選手が飛び出す。トライを決めると笑顔をはじけさせた。「ボールを取って、全力でフィールドを走る。このシンプルさこそラグビーの特徴。一度トライする喜びを知ったらやめられませんよ」。
現在指導するのは鈴木さんを始め保護者など17人。中には初心者もいるが子どもたちに競技の面白さを知ってもらおうと毎週ボランティアでグラウンドに立つ。鈴木さんによると大切なのは技術を教えることではなく、主眼はその精神を伝えることにあるという。ラグビーでは試合で常に全力で戦い、反則をしない「フェアプレイの精神」を重んじる。また試合終了を「ノーサイド」と呼び、試合後は敵味方の区別なく、互いの健闘を称えあう。「ラグビーというスポーツを通じて子どもたちに感謝や思いやりの心を伝えられれば」。
夢は「いつかスクールから世界で活躍する選手を出したい」と壮大だが、目下の目標は6月の公式戦で勝つこと。公式戦の初白星を目指し、選手たちは練習に励んでいる。
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