騒音や風紀の乱れなど、ここ数年来、問題が山積している逗子海岸を本来の「家族で安心して楽しめる海」に戻そうと、市が条例改正を視野に入れた規制強化に乗り出した。今夏、同海岸を訪れた海水浴客は前年比31万5千人(43%)減となる41万7千人。2日、定例記者会見で平井竜一市長は理由について「(7月の)殺傷事件や、海の家の『クラブ化』による風紀の乱れなどが一因ではないか」と述べ、来夏の開設に向け、音楽禁止など海の家に対する規制を強化する方針を示した。
海水浴期間の最終日を翌日に控えた先月31日、残暑の厳しさもあり浜辺は多くの海水浴客で賑わっていた。しかし海岸を歩いてみても、親子の姿はわずかで、ほとんどはカップルや若者のグループ。露出禁止の看板をよそに腕や肩にタトゥー(入れ墨)を入れている若者も散見された。
同海岸は遠浅で波静かなことから、これまで「家族で楽しめるファミリービーチ」として親しまれてきた。09年までは20万人から40万人で推移していたが、10年には70万人を突破。従来のイメージとは異なる食事や外観などが”おしゃれ”な海の家や、ライブハウス形式や大音量の音楽で若者が踊りを楽しむクラブ形式など新たな形態の海の家が増えたことが、若者層の集客効果を高めたとみられる。
しかしその一方で、海の家が流す音楽や海水浴客のマナーの悪さに対する苦情が急増。「酒に酔った若者が大声を出している」「怖い人が多くて子どもを海に連れて行けない」など、今年市に寄せられた苦情件数は、海水浴客数が前年4割減だったにも関わらず、31件から103件と3倍以上に膨らんだ。さらに7月には暴力団関係者2人が死傷する事件も発生。市は、治安悪化や風紀の乱れを「クラブイベントを嗜好する若者の増加で、ルールを守らない海水浴客が増えたことが原因の一端」として海岸組合にクラブイベントの自粛を要請。しかしその後もイベントが行われていたことなどから、8月には音楽の全面自粛を要請した。
音楽イベント規制の動きは、近隣自治体でも広がっている。藤沢市の片瀬西浜海岸では今年、音楽放送の全面禁止を実施。関係者からは「家族連れが増えた」など一定の成果がみられた。市もこうした動きに同調し、音楽イベントだけでなく演奏や放送の禁止も視野に今後検討を重ねる方針だ。
ただ一方で音楽禁止を疑問視する声もある。「音楽禁止=治安回復は安易すぎる。若者のモラルやごみなどの問題は個別に解決すべきことだ」(海水浴客)。イベントの自主規制で今年半分以上団体予約を断った海の家店主も「正直腑に落ちない。例えば完全に音楽を規制したとして、何も変わらなければ何だったんだという話になる」と嘆いた。
「音楽禁止は安直」の声も
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