ヨット競技の艇種の一つ「FJ級」。日本で導入されて約半世紀、競技登録されている全国1790艇のFJ級ヨットのうち、その最初の番号を掲げるセール(帆)が、逗子にある。1949年に創部した逗子開成中学校・高等学校ヨット部が所有するセールがそれだ。インターハイでは代々部のエースが「1」を掲げてきた。
12月、逗子湾で行われた練習。現在のエースナンバーを託される多田光伯(てるたか)(高2)・足立拓馬(同)ペアも海へと出た。海は凪で微風ながらも、器用に帆や船を操作し、沖へと向かっていく。部はこれまでインターハイ5回、国体3回、世界選手権でも2回の優勝を収める名門だ。
インターハイでFJ級が導入されたのが68年。艇体番号は登録順に数字が割り振られていき、それがセールの番号になる。正確な経緯は定かではないが、顧問の内田伸一教諭によると日本にFJ級を導入したメンバーの一人から最初に登録された船を譲り受けたのが始まり。それまでは「2」を所有しており、その後「6」を含めて計3艇になった。艇体は幾度となく変わってきたが、取り分け「1」に込められた思いは特別という。「歴代のエースが使ってきた伝統ある番号。試合に出ることができなかった部員の思いも乗せている」(内田教諭)
長く高校生の競技種目として使用されてきたFJ級だが、あと2年で公式大会からはその姿を消す。国体ではすでに06年に廃止されており、今後国際的に普及している420級への転向が決まっているからだ。「残念な気持ちはあるが、後輩たちに背中を見せるためにも、限られた機会にしっかりと結果を残したい」とエースペアは声を揃える。歴史と伝統を次代に。種目はなくなっても、連綿と受け継がれてきた精神は受け継がれていく。
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