逗子・葉山 教育
公開日:2025.12.19
日本さかな専門学校
三浦半島の魚図鑑を制作
小中学生に海の魅力伝える
三浦市三崎にある「日本さかな専門学校」(学校法人水野学園)の生徒らが、卒業制作の一環として三浦半島に生息する魚を紹介する図鑑づくりに取り組んでいる。子どもたちが海や魚に接する機会が減少している現状を踏まえ、興味や関心を持ってもらうきっかけとする狙い。図鑑は来年2月の完成を予定しており、葉山町・横須賀市・三浦市の小中学校に寄贈する方針だ。
同校は、魚に関する知識を総合的に学べる日本初の専門学校として2023年4月に開校。「海洋生物研究学科(4年制)」「海洋生物学科(3年制)」の2科があり、漁業・養殖、調理・食品加工、マリンレジャーなど水産ビジネスを志望する人が学んでいる。
卒業制作の図鑑づくりは、両科で「魚類・環境リサーチ専攻」を選択している20人の生徒がプロジェクトを立ち上げ、今春から取り組んできた。図鑑の名称は『三浦半島 ここら辺の魚』。「ここら辺」を葉山町を流れる森戸川と横須賀市の観音崎を地図上で結んだ線より南側と定義し、紹介は相模湾と東京湾の両面の魚に絞った。活用対象は三浦半島在住の小中学生とし、掲載条件として船釣りではなく、「陸(おか)から獲れる魚」に限定。子どもたちが自分たちの足でアクセスできる範囲とすることで、身近な自然体験を促す狙いだ。
相模湾で確認されている魚の数は約1300種類とされる中、学生らは網、釣り、素潜りといった手法で220〜230種類を採取。標本化や写真撮影も自分たちで手掛け、「魚の形状を崩さず、一番きれいに見える状態にするためにひれをピンと立たせて固定する『ひれ立て』を一匹ずつ丁寧に行った」とプロジェクトリーダーの倉田拳翔さん。解説文は難しい専門用語を避け、平易な言葉でまとめた。「実際に海に行き、自分の手で魚を捕って自然に触れる楽しさを知って欲しい」と倉田さんは願いを込める。
制作を通じて学びもあった。多様な生物を育むアマモ場が消失している「磯焼け」を間近にしたほか、季節によって南方系の魚が流入している現状も実感したという。
2月にある学園祭「ウオ祭」での発表を予定しており、一部販売を行う計画も立てている。
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