コロナ禍で化粧品需要が落ち込む一方、日々のスキンケアへの関心が高まっている。そこに着目したのが、バイオベンチャー企業「セルプロジャパン(株)」。再生医療、幹細胞研究をけん引する同社は、そのノウハウを美容分野でも生かし、研究と経営の”二刀流”で未来を切り開く。
同社の佐俣文平代表取締役(36)。京都大学のiPS細胞研究所の神経再生研究分野の研究員として、パーキンソン病の研究に携わる、再生医療、幹細胞研究のトップランナーの1人だ。
けがや病気、老化などによって損なわれた細胞の再生のため、分化の源となる「幹細胞」。その幹細胞を培養する過程で採取される上澄み液を「培養上清液」といい、たんぱく質の一種であるサイトカインや成長因子が数十から数百種類も含まれるため、多岐にわたる治療効果が期待できるとして、業界で注目を集めている。
ヒト幹細胞由来培養上清液は、その再生力が、シワやたるみの改善や保湿効果があると支持される。近年はコスメ市場で順調に拡大しており、参入する企業も複数あるという。
幹細胞の治療効果を最大限に発揮させるため、「栄養効果」に着目し、ヒト由来幹細胞の機能評価や細胞培養方法の検証を行う同社。研究と経営の両立のため、打ち出したのが「凍結乾燥したヒト幹細胞由来培養上清液の化粧品メーカーへの販売」だ。
同社は市場に参入し、かつ他社との差別化を図るため、企業理念にも掲げる安全・安心の高品質を徹底。日本人ドナーにこだわり、国内での製造管理を徹底させ、安全性を担保した高品質な培養上清液を販売する。さらに、化粧品メーカーがアレンジしやすいよう同細胞を「凍結乾燥」。流通の拡大を図るとともに仕様の調整を行うことで、メーカーや消費者の希望に応えていく。
「美容分野への拡大は、視野が広がり、研究との相乗効果も期待できる」と佐俣社長。「コロナはある意味、挑戦を後押ししてくれたのかもしれない」と話した。
〈連載終わり〉
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