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藤沢 社会

公開日:2025.12.05

元藤沢市議のベンチャー×日大
犬のがん早期発見・治療へ

  • 宮戸さんと愛犬の「アロハ」

 元藤沢市議会議員で藤沢在住の宮戸みつるさんがCEO(最高経営責任者)を務め、バイオ研究分野で実績を上げているベンチャー企業のISM(株)と日本大学生物資源科学部(学部長・関泰一郎氏)は今秋、犬のがん疾患における新たな早期診断法と治療法の開発について共同研究の契約を結んだ。がんにり患した犬の血漿(けっしょう)(血液の約55%を占める成分)を日大が提供し、同社が開発した治療薬で、がんの早期発見と早期治療ができるかを検証。日大側は、同大動物病院長で獣医外科学研究室教授の枝村一弥氏が研究代表を務める。

ヒトへの技術応用

 同社は先進医薬開発に取り組んでいる企業。今年6月にはヒトのがん疾患の新規早期診断法と治療法の開発で、経産省の成長型中小企業等研究開発支援事業に採択され、国の政策に位置づけられることとなった。

 同社の他、国立がん研究センター、慶應義塾大学などと研究を重ねてきたがんの早期発見から治療までを一貫で行う創薬事業。従来の検査ではがん細胞が大きくならなければ確定的な発見は難しかったが、同社の技術を用いれば微小ながんでも存在を確定でき、早期発見につながる。治療ではがん細胞のみを攻撃し、周辺の細胞への影響がないため副作用も出ない。加えて、がん細胞が発する転移の原因物質も破壊する。同センターで行われた実験では、原発がん、転移がん共に「顕著な抑制がみられた」という世界初の技術だ。

 日大との共同研究は、これらの技術を犬に応用するもの。以前から親交のあった元教授に連絡を取り、関係者につないでもらい、契約に至った。

亡き妻、愛犬へ捧ぐ

 開発のきっかけは、コロナ禍にあったおよそ4年前にさかのぼる。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、細胞間の情報伝達物質などを通じ、重症化、軽症化の判断基準を特定。その技術を活用し、がん検査、治療薬の開発につなげた。

 また、かつて妻と愛犬をがんで失った過去もあり、先の技術を世界に広めることが「供養にもなる」という思いもある。

 宮戸さんは「人間もワンちゃんも家族の一員。みんなで一日でも長く一緒に過ごせるように、たくさんの命を救いたい」と展望を語った。

 研究期間は来年8月末まで、大阪府大阪市の研究本部で進めていく。

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