黒澤明監督の命日に合わせて妙本寺でイベントを開催した「映女会」代表の 苗村 佳美さん 立教大学4年
映画に救われて今がある
○…「映画に携わる仕事をしたい」と就活私塾「高田塾」の門を叩いてから8カ月。黒澤明監督の墓所を知った2日後には鎌倉を訪れるなど根っからの行動派だ。多くの人に映画に親しんでもらうことを目的に、5月に同塾の仲間と「映女会」を結成、9月5日にはイベント「映明忌」を初企画した。黒澤監督の命日に合わせて安養院で法要、妙本寺で映画「羅生門」の上映などを行い、延べ70人が参加した。「喜んで頂けてうれしかった。来年以降も継続できれば」と語る。
○…静岡県出身。中高一貫の女子校で思春期を過ごした。中学生の時いじめにあい「死のうかと思ったことも」と振り返る。そんな時、映画「25年目のキス」(ラージャ・ゴスネル監督)と出会った。いじめられていた主人公が自分を変えることで人気者になっていくストーリーに「私が変われば関係も良くなるのでは」と、明るく振る舞うようにすると状況が好転。「いじめっ子とは今でも連絡し合うほどの仲良しに。いつも応援してくれる」とさっぱりした笑顔を見せた。
○…建築や国際関係など大学進学に際し様々な希望を抱いていたが、娘を医者にしたかった警察官の父親に反対され続けた。「いっそ一番好きな映画や演劇の勉強をしよう」と立教大学の映像身体学科へ進学。「大学名だけ教えていたから専攻を知った時、父はとても驚いたみたい」と話す。入学直後、学科の先輩が主催する「UO企画」の演劇に衝撃を受け、活動に参加したものの1年経たずに解散。「学外にも実績を残す先輩たちみたいに、自分には出せるものが何もない」との歯がゆい思いを抱き、「劇団東京乾電池」(柄本明座長)の研修に参加するなど、興味のあることにはどんどん挑戦していった。
○…就活は鋭意継続中。「制作会社に入社できれば。娯楽としてだけではない、人生の指針にもなりうる映画の魅力を伝える仕事がしたい」と目を輝かせた。