鎌倉のとっておき〈第2回〉 鎌倉最古の神社をご存じですか?
鎌倉最古のお寺は?と尋ねると「杉本寺」と誰もが答えられますが、最古の神社は?と聞かれるとなかなか答えられません。地元の人に「神明さま」の愛称で親しまれている長谷の鎮守、甘縄神明神社(甘縄神明宮)は鎌倉最古と言われています。
創建は710(和銅3)年、奈良時代まで遡ります。行基が草創し、土地の豪族染谷時忠が建立したとされています。頼朝の祖先である源頼義がこの神社に祈願して子宝(八幡太郎義家)を授かったことから、源氏との縁が深い神社として信仰されています。その後も頼義・義家は社殿を修復し、頼朝も社殿を修理し鳥居などを建てたと伝えられています。
境内には第八代執権・北条時宗公産湯の井があり、また作家・川端康成の住居が近くにありこの神社は小説「山の音」の舞台にもなりました。鎌倉を詠んだ万葉集の一首「鎌倉の見越の崎の岩崩の君が悔ゆべき心は持たじ」の一節「見越の崎」はこの神社の裏山「神輿山」であるという説もあります。甘縄神明神社はそれぞれの時代にエピソードのある由緒ある神社です。
鳥居をくぐり参道を進み細い階段を上がると本殿が現れます。そこで後ろを振り返ると由比ヶ浜海岸を一望する事が出来ます。神社の周辺には鎌倉文学館や吉屋信子記念館、さらには明治から大正にかけての別荘時代の名残である洋館が多くみられます。
鎌倉の街特有の景観である「路地裏」散策にはお薦めのスポットです。
(井上靖章)
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