鎌倉のとっておき〈第9回〉 閻魔大王って何? 十王って何?
鎌倉には特別に興味を惹かれるお寺がありますが、圓應寺もその一つです。本堂内に入ると全体に暗く、一種異様な空気が流れています。それもそのはず、あの世で出会う怖い顔の王の像がずらりと並んでいます。
正面に口をカッと開いた恐い顔の運慶作と言われる閻魔大王の像があり、そこを中心に一番右側には、脱衣婆(だつえば)の像があります。脱衣婆は三途の川を渡るとそこにお爺さんとお婆さんがいて、脱衣婆というお婆さんが亡者の衣服を脱がせて、懸衣翁(けんえおう)というお爺さんに渡します。すると懸衣翁が近くの木の枝に懸けて、その垂れ具合で生前の罪の軽重を測るとのことです。
その次から左回りに十王像が並びます。十王とは死者の裁判官であり、7日単位で秦広王、初江王、宋帝王、五官王と生前の罪の審査を受け、5×7=35日目の閻魔大王が六道(天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄)のどこに生まれ変わるか決定します。
その後は変成王と7×7=49日目の太山王により男女の別と寿命が決定されます。亡者を裁くのでなく、平等王、都市王、五道転輪王により、遺族が素直な気持ちで3回忌までの法要を行っているか監視します。
十三仏霊場巡りが行われていますが、生前に十三仏をお詣りすると、あの世に行ったときに十王の裁きが少し手抜きしてくれるのではないかというのです。
昔の人は、良くこんなことを考えたな、と思うと同時に、来世に望みを託さざるを得なかった厳しい世の中だったのだと思います。
西幹夫
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