結成20周年を迎えた紅月劇団の代表を務める 石倉 正英さん 材木座在住 48歳
「演劇は終わりのない芸術」
○…鎌倉を拠点に古民家などの空間を生かした作品を発表し続けている、紅月劇団。結成20周年を迎えた今年、4回の記念公演を行う。6月25日と26日にはその第2弾として、カジュ・アート・スペース(二階堂)で「義経エキセントリック」をリバイバル上演する。「鎌倉に来て初めて披露した、思い入れ深い作品。今までの歩みと進化を感じられる舞台にしたい」と意気込みを語る。
○…群馬県出身。姉が部活で演劇を始めたころは、「芝居なんて白々しくて嫌だ」と「食わず嫌い」をしていたという。しかし上智大学への進学が決まったときに、姉が所属する同大の学生劇団の卒業公演を見て「肌で感じる演技がこんなに面白いなんて」と衝撃が走った。入学するとすぐに数ある演劇サークルの中から「橄欖舎(かんらんしゃ)」へ参加。2年生から脚本を手掛けるようになると、ますます芝居漬けとなった。「機械工学を専攻していたけれど、あまり授業の記憶がない」といたずらっぽく笑う。
○…大学卒業後はIT系の企業で働きながら、舞台に役者として出演したり、脚本を書いたりと「劇場と縁の切れない生活」を送った。そんな時、学生時代に他団体で役者をしていた若林宏彰さんと再会。若林さんの華のある存在感に惹かれ、2人で紅月劇団を結成した。シンプルな装置の中で演技そのものを生かす表現を目指して、能をヒントに新作を次々に発表。2003年に廃材でできた風変わりな劇場で公演したことをきっかけに、「既存の劇場を飛び出そう」と古民家を舞台にした新しい演劇への挑戦を始めた。
○…17年前、結婚を機に鎌倉へ。身近に残る旧跡に創作意欲をかきたてられ、市内で公演を行うようになった。数年前からは若手育成のワークショップを開催するなど、後進の育成にも力を入れている。「演劇は終わりのない芸術。紅月劇団もまだまだ深めていける」と熱い眼差しで語った。