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鎌倉のとっておき〈第31回〉 鎌倉にある湖とその歴史

掲載号:2017年11月24日号

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自然豊かな散在ガ池
自然豊かな散在ガ池

 鎌倉には豊かな自然が数多く残っている。しかし湖がある事はあまり知られていない。

 鶴岡八幡宮北方の山より北にある今泉。ここに「散在ガ池(別名鎌倉湖)」と呼ばれる人工の湖がある。面積9495平方メートル、湖岸線延長772m、最大水深7・6m、平均水深3・1m、貯水量29900㎥の規模である。一帯は森林公園として整備され、市民の憩いの場所となっている。園内では四季折々の野花や野鳥、昆虫が観察できる。また鎌倉石が切り出された石切場跡もあり、森のなか切り立つ岩壁に空から太陽の光が差し込み、神秘的な景観を作り出している。

 散在ガ池が完成したのは明治二年。『鎌倉市史』によると、造られた理由は江戸時代に遡る。当時、今泉村西方にあった岩瀬村と大船村は、以前から雨が少ないと水田が干上がってしまい水不足に陥りがちであった。そこで三ヶ村を流れる砂押川上流の今泉村山間部に堰をつくって水を溜め、旱魃の備えとしたのである。

 明治初期の『皇国地誌』という史料には「面積二千五百五十八坪(約8456平方メートル)、周回五百七十間(約674m)、深サ平均四間(約4・7m)」とあり、当初は今より少し小さかったことがわかる。

 この人工の溜池は、土居松(どいまつ)という地名から「土居松ノ池」と呼ばれていたようだ。その後、岩瀬や大船の水田は都市化の波で減少し、溜池も役割を終えようとした。昭和に入ると溜池付近の山々は宅地開発され、散在ガ池にも計画が持ち上がった。しかし、貴重な自然を守るため反対運動がおき、公園として残ったのだった。

浮田定則
 

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