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鎌倉のとっておき 〈第47回〉 食事のマナー、時を超えて

掲載号:2018年10月19日号

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道元禅師の鎌倉御行化顕彰碑
道元禅師の鎌倉御行化顕彰碑

 相模湾の海の幸や鎌倉野菜など豊富な食材が揃う鎌倉は、精進料理をはじめ禅宗の影響も色濃い食文化発祥の地でもある。

 食事の際、料理を一層美味しくいただくには、互いに気持ちの良い「マナー」も求められるが、中世鎌倉では既に曹洞宗(禅宗)の開祖道元が『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』に食事作法の基本を記している。

 内容は禅宗の修行僧用だが、そこには「応量器」(食器)で自分が食べられる適量を心得えるべきことをはじめ、「背筋を伸ばし姿勢を正していただくこと」「食器の音は立てず必ず両手で持つこと」「音を立てたりすすったりして食べないこと」「食べ物を口に詰め込んだり残したりしないこと」など事細かに記載されている。

 また「果物の種などは食器の後ろ(陰)に置き、隣の人が見て嫌な思いをしないようにすること」「隣の人の器を覗かないこと」「皆と食べる早さを合わせること」など他者への気配りに係る記載もある。

 こうした食事作法を大事にする姿勢は、当時、飢饉の発生などで食料事情も厳しい中、食事は食材の命をいただくこと、また人々の苦労の結晶であり、人の命の源であることに感謝の思いを表すことそのものだったのだろう。

 これらは「飽食の時代」と言われて久しい現代にも通じる大切な「マナー」である。

 禅宗文化の薫るここ鎌倉は、豊かな自然の恵みへの感謝とともに、日々の「いただきます」の気持ちの大切さを改めて教えてくれる街でもある。

石塚裕之
 

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