鎌倉版 掲載号:2019年2月1日号
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鎌倉のとっておき 〈第54回〉 伝説の地を訪ねて

稲村ヶ崎
稲村ヶ崎

 鎌倉にまつわる伝説は、5代執権北条時頼が諸国行脚した廻国伝説が謡曲「鉢の木」としても有名だが、まちなかで普段目にする処にもまた数々の伝説が残っている。

 はじめに二階堂にある「歌ノ橋」。源実朝の世、謀反の罪で捕らわれた武士がその疑いを晴らそうと、和歌を荏柄天神社に奉納したところ、その和歌に感心した実朝は罪を許したという。その武士が感謝の記(しるし)として架けたのがこの橋だという。

 次に材木座にある「六角ノ井」。平安時代、保元の乱で敗れ伊豆大島に流された源為朝は、自分の弓の力を試そうと、大島から光明寺の裏山、天照山に向け矢を放ったところ、この井戸に落ちたという。そこで「矢の根ノ井」とも言う。

 また市内東南、標高120mほどの「衣張(きぬばり)山」。源頼朝は、夏の日差し照りつける日にこの山を白絹で覆わせて雪山に見立て、屋敷から眺めながら歌を詠み、酒宴を開くなどして夏の涼をとった、との言伝えから衣張山と呼ぶようになったという。

 そして「稲村ヶ崎」。1333年新田義貞による鎌倉攻めの際、義貞は稲村ヶ崎にて黄金(こがね)の太刀を海中に投げ入れ、「わが軍のために道を開き給え」と龍神に祈ったところ、その夜潮が引いて干潟ができ、これを渡って鎌倉に攻め込むことができたという。

 数多(あまた)の伝説が残る古都鎌倉。時を超え、古(いにしえ)の武士たちの思いとともに、中世日本の歴史そのものを身近に感じることのできるまちである。

石塚裕之

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