2017年11月に鎌倉市で始まった市立中学校の学校給食が生徒・保護者らに好評だ。神奈川県内の同じ「デリバリー方式」(工場で調理して弁当箱で各校へ配達する)を導入した地域では、異物の混入による委託中止や「美味しくない」「冷たい」などの理由で喫食率が上がらない問題もあるなか、今年度(4月〜12月)は81・4%と、開始当初から変わらず、高い喫食率を維持している。その理由を探った。
文部科学省のデータ(16年度)によれば米飯やパン、おかず、ミルクがセットになった「完全給食」を実施している学校は全国平均の90・2%に対し、神奈川県は27・3%と突出して低い。
だが、共働き家庭の増加などもあり、県内でも完全給食に移行する市町村が増加している。
鎌倉市では12年に検討委員会が発足し、約5年をかけてデリバリー方式の給食導入にこぎつけた。
しかしこの方式は他の自治体で、問題が相次いだ。16年1月にスタートした大磯町では「まずい」「冷たい」などの理由で残食率が高く、異物混入も次々と発覚。結局開始2年弱で中止する事態になった。
また横浜市で17年1月に始まった「ハマ弁」の喫食率は2・2%(昨年7月)。「家庭弁当持参が基本」とは言え、目標の10%に届いていない。
こうしたなか鎌倉市では、給食が始まった17年11月から18年3月までの喫食率が72・8%。今年度(4月〜12月)も81・4%と順調に推移している。鎌倉市教育委員会は、「保護者への事前調査である程度の需要が見込めていた」とするほか、給食を紹介する広報紙を毎月発行するなど、開始までに十分な周知活動に取り組んだことが要因と分析する。
生徒の声献立に
また鎌倉市が給食の調理を委託するハーベスト(株)の笛田工場では、日ごろから衛生管理を徹底。提供内容の向上のため、数カ月に1度、生徒や保護者を対象に市が調査を実施し、味付けや温度、量など、「生の声」を担当栄養士らに届けている。
その結果、市が昨年実施したアンケートでは、全体の満足度について「満足」「やや満足」と答えた生徒は37%=図。保護者も導入について「よい」「どちらかといえばよい」と答えた人が90・2%に上った。
一括予約が約7割
また高い喫食率の土台となっているのが、「在校時一括予約」だ。通常、毎月1日〜20日(ウェブサイトの場合)に翌月分をまとめて予約するが、在校時一括予約なら卒業までの予約を一度で済ませられ、毎月の手間を省き、予約忘れも防げる。
今年度(4月〜8月)、在校時一括予約をしている生徒は68%。市教委の担当者は「毎月の予約が手間だという人には一括予約をおすすめしている。頼みやすい環境も好評の理由となっているようだ」と話している。
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