全国消防救助技術大会「ロープブリッジ渡過」種目でトップタイムを記録した 高橋 浩太郎さん 城廻在住 29歳
「磨いた技、救助に生かす」
○…「レスキューの甲子園」と呼ばれる全国消防救助技術大会(8月・岡山県)に出場。ロープブリッジ渡過(隣接した建物への進入を想定し、水平に張られた20mのロープを2種類の渡り方で往復する競技)で入賞し、全国最速となる15・9秒を記録した。「一番をとってくると皆に言っていたので、ほっとしました」とはにかむ。
○…「三度目の正直」だった。初出場だった3年前は、トップタイムを記録するも一部基準を下回り減点。昨年は台風の影響で大会そのものが中止となった。悔しさをバネに訓練に励み、迎えた今大会は「絶好調」。全国の精鋭相手に、宣言通りの結果をつかみ取ったばかりだが、「来年は別競技で挑戦したい」と即答するなど、視線はすでに先を見つめる。
○…幼いころからの夢だった消防士になり9年目。現在所属する特別救助隊は火災・事故・災害など、人命を守るために危険な現場の最前線で活動する。「時には怖いと感じることもある。元々高いところも得意ではない」と打ち明ける。それでも前に進めるのは、助けた人や家族からの「ありがとう」の言葉があるから。自らの弱さに打ち勝つためにも、多種多様な訓練や日々の筋力トレーニングをこなす。田中健太郎消防司令補は「市消防本部は4年連続で全国大会出場を決めているが、彼の存在が共に訓練する他隊員にも好影響を与えている」と評する。
○…5歳・3歳・0歳の三児の父。休日はもっぱら家族と過ごす。全国大会の応援にも駆けつけた息子たちにとって、父は憧れの存在のようで、同じく消防士を夢見ているのだとか。体が資本の職業だけに、「息子も『ご飯をたくさん食べる』と弁当の大盛りを妻に頼んだり、張り切っているみたいです」と頬を緩めた。