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鎌倉のとっておき 〈第73回〉 鎌倉生まれの言葉あれこれ

掲載号:2019年12月13日号

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兀庵普寧が開山の一人となった浄智寺の本堂「曇華殿」
兀庵普寧が開山の一人となった浄智寺の本堂「曇華殿」

 「挨拶」は、中世鎌倉で広まった禅宗の問答が一般化し、今では日常会話のやり取りや手紙の往復などを表す言葉になったものだが、私たちが何気なく使っている言葉の中には、他にも中世鎌倉に由来するものがある。

 例えば、争いや揉めごとなどを表す「ごたごた」。その由来は、浄智寺の開山の一人で、建長寺の第2世・兀庵普寧(ごったんふねい)という禅僧にある。

 この僧は、建長寺入寺の際、ご本尊の地蔵菩薩よりも自分の方が位が高いとして、ご本尊を礼拝しなかった。そして、寺での仏事など、事あるごとに口やかましく発言し、混乱を招いていた。そうするうちに「また兀庵が何か言っている」「ごったんが、ごったんが…」と、いつの間にか揉めごとやいざこざのことを「ごたごた」と表すようになったという。

 また、全力で何かをする様子を表す「一所懸命」。その由来は、鎌倉武士にある。

 鎌倉武士の多くは、幕府へ出仕する一方で、農繁期には農業にも従事する自給自足の生活だった。このため家屋敷や田畑など先祖伝来の所領は、一族郎党を養うための大切な生活基盤であり、自らの所領(一所)を命を懸けて守っていた。「一所懸命」はこのことに由来するが、現在では「一生懸命」の表記を使うことも多い。

 鎌倉ゆかりの言葉の由来を訪ねてみると、当時の鎌倉人たちの生活ぶりも目に浮かんでくるようである。

石塚裕之
 

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