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鎌倉 コラム

公開日:2022.05.13

鎌倉のとっておき 〈第130回〉
仏行寺と二つの塚

  • 仏行寺の源太塚

 観光客のあまり訪れない笛田の地に、ツツジで有名な仏行寺はある。本堂の裏の山を背景にした池泉式の庭園はすばらしく、満開のツツジを想像して心が躍る。



 しかしこの寺には他にも見るべきものがある。庭園の奥の山の斜面を登らなければ辿りつけないが、墓地の一番奥まった場所、そして一番高い場所に源太塚はある。今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出てくる有名な武将梶原景時の嫡男、梶原源太景季の片腕が埋められているという。



 頼朝の死後、失脚した梶原一族は、領地の相模を出て京に向かう途中で討たれ、景季は山中で自害した。39歳であった。その後、鎌倉に届けられた片腕が、埋められたのが、この源太塚だそうだ。小さな盛り土をイメージして行くと裏切られることになる。直径数メートルはある立派な塚とその周囲はよく手入れされ、ベンチに座って心地よい風に吹かれながら鎌倉時代に思いをはせるには、もってこいの場所といえる。



 また夫の死を知ってこの地で自害した妻・信夫(しのぶ)のしのぶ塚が、谷を挟んだ鎌倉山の一角に、源太塚と向き合う位置に建てられていたそうだが、現在は宅地造成などの為に移設され、方向が少しずれているという。もの悲しい歴史を感じる場所でもある。



鈴木陽子

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