きくらげを地域の名産品にしようー。市内下寺尾の畑でこんな取り組みが始まっている。栽培するのは2人の高齢男性。地域活性化の目玉とするとともに、遊休農地の活用や福祉施設、大学との連携も見据える。
「湘南きくらげ」の栽培を行っているのは、池田佳弘さん(80)と小林照夫さん(70)。
2人は今年4月、ある勉強会で出会った。長年、建築会社を営んできた池田さん。新たな事業として、知人の太田宏明さん(81)が所有するビニールハウスを借りて、贈答や冠婚葬祭用の生花栽培を始めようと考えていた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で生花の需要が激減。断念せざるを得なかったという。
それを聞いて小林さんが提案したのが、きくらげ栽培だった。普段はファイナンシャルプランナーとして働き、里山公園でボランティアも務める小林さん。以前からきくらげを地域活性化に活用できないか、考えていたという。「『食べる漢方薬』とも言われ、栄養豊富ながら低カロリーなのが特徴。また現在はほとんどを輸入に頼っており、十分需要はあると思った」
失敗からのスタート
「まずは試しに」と菌床を10本だけ買って栽培をスタート。本来は10日ほどで生え始めるはずが、1ヵ月近く経っても何の兆候もなかった。
これが2人の反骨心に火をつける。7月初旬に千葉県の農家まで赴き、温度や湿度の保ち方、水のやり方についてレクチャーを受けた。
茅ヶ崎に戻った2人はさっそく栽培方法やハウスの改良に取り掛かる。その後1千本の菌床を購入して本格的に栽培をスタートさせると、7月下旬には初めて約15キロが収穫できた。
しかし新たな課題が。きくらげの「販売先」がなかったのだ。知人に配るなどしたが捌き切れない。青果店や飲食店などにも交渉したが、思うように行かなかった。
試しに「湘南きくらげ販売中」ののぼり旗を出したところ、近隣住民を中心に買い求める人が増え始めた。小林さんは「6月にNHKの番組できくらげの効能について取り上げられたことも追い風になったのでは」と振り返る。
やがて「リピーター」も増えるようになり、話を聞いた大学生、宮間香苗さんがボランティアとして加わるなど、徐々に輪が広がっていった。
結局、11月初めまでに合計1・3トンを収穫。来年4月からは菌床を2千本に増やすことなども計画中という。
法人化も検討
ハウスがある小出地区は農業従事者の高齢化で利用されていない農地も多い。「遊休農地を活用してきくらげを小出地区の名産品にしたい」と池田さんは話す。
また、近隣の福祉作業所の通所者に収穫作業を担ってもらう「農福連携」を進めることなども検討。文教大学とも連携し、成分の分析や新たなレシピの開発を進める。ふりかけなどの加工食品づくりも計画する。
小林さんは「事業を広げるために、法人化なども検討中。きくらげと言えば茅ヶ崎と呼ばれるようにしたい」と話した。
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