茅ヶ崎・寒川 社会
公開日:2025.09.19
先端技術でモノづくり楽しむ
茅ヶ崎市赤松町在住 柳川直樹さん
茅ヶ崎市赤松町在住の柳川直樹さん(87)は、80代になってからCADソフトを使用してモノづくりを楽しんでいる。新しいことを始める時の気持ちや、続けるコツについて聞いた。
柳川さんが取り組むのは、専用のソフトウェアを使用してコンピュータ上に3次元の立体データを作成する3Dモデリングという技術。
きっかけは、孫からカタツムリの絵をもらったことだった。近年は3Dプリンターなどの発達で、比較的簡単に立体化ができると知っていた柳川さんは「この絵をネームプレートにしたら喜ぶのでは」と考えた。
教えてくれる場所を探す中で知ったのが「茅ヶ崎CAD部」(木村朋道代表)だった。同団体は2020年に発足。茅ヶ崎市内のコミュニティセンターなどを拠点にCADソフト(コンピュータ上で設計図や図面を作成・編集するもの)の使い方を学んだり、3Dプリンターを活用した自助具の製作など、幅広い活動を行っている。
柳川さんは約1年前から同団体が行っている勉強会に参加。木村代表の指導も受けながら、孫の絵を元にしたカタツムリのネームプレートを仕上げた。肝心の孫の反応は「いまいちだった」とは言うものの、「これは面白い」と本格的に取り組むことになった。
そもそも60歳を過ぎてからパソコンを始めた柳川さん。「年齢を重ねるとどうしても行動範囲が狭くなる。その分、パソコンに頼ることが増える」と、動画視聴などを楽しんできた。
とはいえ、全く未経験だったCADソフトの扱いには苦戦したという。「テキストを何度も読み込んだけれど、日本語が書いてあるのに意味が全く分からなかった」。
それでも何度も何度も試行錯誤を繰り返しながら、作品の完成を目指す。最近では腕に障害がある人でも、ペットボトルのフタが簡単に開けられる補助器具のデザインに取り組んでいる。木村代表は「途中で投げ出してしまう人も多いなか、柳川さんの粘り強さには頭が下がる」と話す。
「新しい世界見たい」
柳川さんは東京都出身。大学卒業後は商社マンとなり、得意の語学を活かして世界中を飛び回った。オーストラリアやカナダ、中国など海外での駐在経験も豊富。海外では言葉や習慣の違いなどで苦労することも多かったが、「とにかく新しい世界が見たかった」と当時を振り返る。
今はその「新しい世界」がパソコンの中に広がっている、と感じているという。
何かを始める時、そしてそれを続けるコツを聞くと「『できたこと』をことを考えて、『できなかったこと』にはフォーカスしないこと。もし失敗しても最終的に目指すゴールに到達すれば、それは失敗ではなくなるから。あとは好奇心、探究心を持ち続けることだね」と笑顔を見せた。
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