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茅ヶ崎・寒川 社会

公開日:2025.11.07

消防一丸 一層安全な街に
大柳誠二消防長インタビュー

  • 取材に応じる大柳消防長

 ――茅ヶ崎市消防本部の特色を教えてください

 2022年4月1日から茅ヶ崎市と寒川町の消防本部が広域化されました。消防の広域化は、今後の人口減少や超高齢社会に向け、持続可能な消防組織をつくることを目的として行われ、茅ヶ崎市と寒川町はそれぞれ設置している消防本部を一つに統合し、現在は「茅ヶ崎市消防本部」として茅ヶ崎市と寒川町の全域を管轄しています。

 広域化による大きなメリットとして、「消防力」が高まったことが挙げられます。特にコロナ禍では出動件数が大幅に増加しましたが、広域化により救急車両の台数が増えたことから、現場到着時間が大きく遅れることなく対応することができました。また、昨年発生した寒川町での大規模な工場火災では、それまで寒川町が保有していなかった特殊消防車両を含む15台の消防車両(消防団車両を除く)による長時間にも及ぶ消火活動の末、消し止められた事案もありました。

 ――広域化による課題を教えてください。

 両市町の文化の違いなどもあり、広域化当初は互いに難しい面もありました。その環境でも私は「居心地の良い職場づくり」と「心理的安全性の確保」が大切と考えます。上席が職員の声を聞き、意思決定するために情報をそれぞれ共有するといった現場を踏まえた考え方です。「それいいね」の精神で互いに認め合う、そんな環境づくりに取り組んでいます。また、離職率も考慮し、新人たちが声を上げやすい環境をつくることも大切です。互いに注意し合える間柄になることも重要で、そうした現場を目指しています。

 ――環境づくりの取り組みによる効果はありましたか。

 若手職員からさまざまな提案がなされるなど、誰もが声をあげやすい環境になっていると感じています。その一つとして職員から提案のあったSNSの情報発信は、今では公式Instagramのフォロワー数は1万人を超え市内外問わず、多くの方に興味をもっていただいていることをうれしく思っています。

 ――茅ヶ崎市、寒川町内の火災発生状況、救急出動の状況などお聞かせください。

 今年1月1日から11月1日午前0時までの火災発生件数は茅ヶ崎市が35件、寒川町が19件の合わせて54件。昨年は田畑への火入れによって枯れ草などに燃え移り延焼するケースが特に多くみられました。また、最近ではモバイルバッテリーの誤った取り扱いによる電気系の火災が増えています。電気系の火災に関してはSNSで実証動画を配信するなどして注意喚起を行っています。その他、火の不始末や放火も少なからず発生しております。1件でも火災件数が減るようさまざまな方法で注意喚起を行っていきますので十分に気を付けてほしいと思います。

 ――救急車の適正利用の状況などをお聞かせください。

 救急利用のうち、入院、加療を必要としない場合は国の取り組みで不適正利用とみなす指針があります。その指針に当てはめると、茅ヶ崎市消防本部では救急利用者の38%が自力で病院に行くことができると判断できます。ただ、過度に適正利用を呼び掛けると、通報せずに重症化に至るケースもありますので、イベントなどで救急の適正利用を呼び掛けていきます。私たちには救急車両が9台しかありませんので、重症者を救うためにも、読者の皆さまにもぜひご理解をいただけたらと思います。

 ――読者にメッセージをお願いします。

 今年7月30日には津波警報が発令されましたが、大規模災害の発生時には私たちが被害を最小限に食い止めます。それでも、消防力が不足する事態が予測される時には消防団の力を借りないといけません。連携はもちろん、市民、町民の皆さまの自助意識も必要です。皆さまがより一層、安全で安心できる街づくりのためにも、引き続き、消防行政へのご理解、ご協力をよろしくお願いします。

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