寒川町商工会前のゴーヤカーテンを世話している 杉崎 光雄さん 小谷在住 81歳
街角の涼を演出
○…寒川町商工会は例年夏にかけて緑のゴーヤで覆われる。主に遮熱が目的だが、実は窓口で販売され、収益が様々な被災地に寄付されてきた。緑のカーテンを10年前から世話をしているのがこの御仁。商工会前は浜降祭の神輿4基が茅ヶ崎から戻り、御旅所祭が行われる。大切な場所に爽やかな緑を、という思いもある。今年も連休前から土づくりを始め、着々と育っている。去年はこの小さな畑に誰かがアサガオの種を放り込んだらしく、予期せぬ大輪がいくつも咲いた。「せっかくまいた肥料が花になった」と笑う。
○…6歳の頃に終戦を迎え、高校まで家の田畑を手伝った。今とは違い、田植えも手作業。干ばつに見舞われた時は井戸を掘り、夜中に畑に水をまいた思い出がある。町内の企業で数年働いた後、水道関連の杉崎設備工業を創業した。「今みたいな重機はなくて、地面をツルッパシで掘った。今日は何メートルと目標を決めてね」。軌道に乗ると、仕事の準備が深夜におよぶほどの忙しさに。それから半世紀以上がたち、会社は社員11人以上の大所帯になり、自身は会長として第一線を退いた。子や孫も同じ職場で働いており、一緒に昼食を囲むのが幸せ。
○…雑談の中で「賭け事をせずお酒はほどほどに、貯金も大切」とつぶやいた。シンプルな事だが、沢山の人を育てた人の言葉は奥深い。取材が終わり「私のエピソードより、ゴーヤの事を紹介してよ」と頭をかいた。実は目立つのは大の苦手。こぢんまりとした自身の作業場が会社の敷地にあり、ここで使わなくなった部品を加工し、新たな命を吹き込む。愛用の工具が沢山ぶら下がり、その間にリーンと音を響かせる風鈴が2つ3つ。よく見るとそれも水道部品だった。
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