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寒川 人物風土記

公開日:2021.07.09

県知事表彰された食品衛生協会の役員
天利 幸一さん
一之宮在住 63歳

職人は手洗いマイスター

 ○…老舗和菓子店の職人は寒川食品衛生協会の役員という横顔をもつ。飲食店や小売店の衛生管理のため、仲間と手分けして訪れる店は100軒以上。活動を続けて20年が経った。同業の店を訪れる機会も多く、気遣いが欠かせない。冷蔵庫の温度確認をしながらも、対話を重視している。取材を初めて数分、細い両目が笑顔に埋もれてゆく。日本食品衛生協会の「手洗いマイスター」の認定を受けている。指は一本ずつ洗うのだと両手を出して教えてくれた。

 ○…早朝4時に起床して、米を蒸し始めるのが普段の日課。これが定休日だと3時半から鵠沼の海に入る。まだ暗いうちから波に乗り、6時ごろには寒川に戻るからほとんど顔が焼けない。「サーフィンは20年続けているのに、あまり信じてもらえなくて」と苦笑い。暇さえあれば湘南マラソンや東京マラソンなどにも出場するアスリート。たまにウクレレをつま弾く日もある。

 ○…一之宮小と寒川中の卒業生。祖父の兼吉さんは名職人で、店内には昔の干菓子を固めた魚型の木枠や「壹等(1位)」の表彰状が飾ってある。「家が和菓子店だから、下校すると家には常に親がいましたね」。サラリーマン生活を経て家業を継ぐことを決心。大船や横須賀の店で修業し、寒川に舞い戻った。

 ○…これまでに地元の伝統行事や武将を和菓子にした「屋台もなか」「景時まんじゅう」などを形にしてきた。梅雨や猛暑のシーズンは菓子職人にとって少し余裕が出る季節。たまったアイデアを形にするため、手を止めて考える時間が増える。最近、東の空にかかる美しい虹を見て、心をつかまれた。鮮やかな色の束を冷菓で再現しようと、ひそかに挑戦中。きれいな両手からどんなキレイが飛び出すか。

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