寒川芸能舞踊会の会長を務める 佐々木 道子さん 倉見在住 70歳
客席と舞台、双方元気に
○…演歌などに合わせて舞う寒川芸能舞踊会の「浴衣ざらい」。50ほどの演目を取材して驚かされたのは、指先まで洗練された舞はどの角度から撮影しても絵になるという事。「右手の扇子に気をとられると、左手がオバケになる(ダラリとする)から、全身の動きに気を配らないと。歌謡曲の主人公になれる5分間なんです」。
○…父の建築関連の会社を手伝うため、高校は商業関連で簿記を勉強。卒業した頃から事務を任された。パソコンに親しんだ経験のおかげで今も発表会のプログラムは自作している。結婚してから3人の子育てに没頭した。「てんやわんやでしたね。育児は思い通りにはならないし、思うようには育たない」と懐かしそう。今のようにコンビニや100均がない時代である。駅前の衣料品店「アグ」に通いつめ、気づけばご近所さんがみんな同じシャツを着ていた。舞踊の世界を知ったのは40年ほど前、親族の結婚式がきっかけ。姉が小さなスペースで舞踊を披露し、祝宴を盛り上げる姿に憧れた。東洋通信機で働いていた頃に社内のクラブ活動で習い始め、以来舞踊ひと筋。町内の芸能団体の設立にも携わり、5年ほど前から会長を務めている。
○…自身の演目は「悲し別」。会えないあなたに会いたいという意味の歌には、コロナ禍で仲間に会いたくても会えなかった悔しさがにじむ。体調不良になったり退会したメンバーもいた。この選曲には1年半前に他界した家元(師匠)への思いもこめた。「あの人より上手く、と競うのではなく自分の心に勝て」という教えが宝物。胸に秘めた目的は二つある。舞う人と見る人の双方が元気になること。会長の舞には、マスクで遮られがちな喜怒哀楽が、たっぷり込められていた。
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