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寒川 人物風土記

公開日:2021.12.03

20年以上保護司を務め、もうすぐ退任する
中島 里江さん
 一之宮在住 77歳

全力で相手を感じ取る

 ○…少年院など矯正施設から出た人の、立ち直りを支える保護司。寒川町で活動する8人のうちの一人で、21年前から続けている。来年3月の退任を前に「肩の荷が降りるというか」と表情を和らげた。支援対象者との会話は、仕事や生活の助言から髪型、ファッション、普段の昼食はどうしてるのかなど、親が子に寄り添う姿に似ている。中には、目を合わせてくれない相手もいた。話してくれた内容が、後で嘘と分かる事もあった。本当の事が言えない事情があったのだろう。彼らの隣に座って、どうしたらいいかを一緒に考える。マスクごしの今は、相手の思いをより丁寧に感じ取らねばならない。

 ○…取材中に抹茶をたて始め「どうぞ」と出してくれた。学生時代から続ける裏千家茶道。「いつもバタバタ動いているから、ひと休みになる。みんな飲んでくれますよ」。海老名市出身で、結婚を機に寒川へ引越し。読書家でもあり、昔は寒川駅周辺にあった書店で過ごすのが好きだった。「本屋さんもなくなってしまって、寂しくなりましたよ」。子育ての傍ら、PTAの役員を担い、ある日茅ヶ崎署から少年補導員を頼まれ、引き受けた。パチンコ店やゲームセンターを見回るようになって数年後、今度は町長(当時)から保護司を薦められた。

 ○…「社会を明るくする運動」の一環で毎年仲間たちと駅前で団扇を配る。「受け取った人に細かいことまで伝わらなくてもいい、地域の力が必要と知ってもらえるだけで」。自宅のクッションもお盆も、刑務所で作られた品々を愛用する。「頑張れと言うだけじゃね」。手元には使い込まれた保護司手帳があった。「彼らの誕生日はぜんぶ覚えてます」。これまで何人を励ましたのか、数えたことはない。

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