寒川青年会議所の理事長に就任した 犬上 亙佑さん 宮山在住 38歳
まちファースト まっすぐ走る
○…コロナ禍での人々の願いを込めた折鶴を町内外から募り、モザイク風のオブジェに変えた寒川青年会議所(JC)。仲間と連日作業するうち、手はすぐにガサガサになった。きっかけは1年以上前、たまたまある飲食店に入った時のこと。お客さんが減ったのか店内の電気が一部消され、子どもが懸命に宿題をしていた。「いま自分たちが町のために何もできなかったら、JCの存在価値はない」。誰でも参加できる企画として飲食店などを通じ折鶴を募った結果、当初の1万という予想を超え14万5千羽に。今月理事長になり、目標に「まちファースト〜尊重・探求・献身〜」と打ち出した。駆ける方向にぶれはない。
○…滋賀県の代々神職という家で育った。「継げ」とも言われず、大学を出て民間企業に就職しようとしたが、ある最終面接でこう言われた。「内定は出すが、あなたの代で大切な歴史が途絶えることも考えた方がいい」。考えに考え「自分にしかできない」道を選んだ。平成19年から寒川神社で奉職している。記者が境内で会うと、いつも凛として笑わない。その理由を聞くと「参拝者の方と神様をつなぐ役目があります。立ち振る舞いに細心の注意をしなければ」。故郷で見た父のたたずまいは、何十年もかけて磨かれたとみる。進路を喜んでくれた父は、一昨年他界した。
○…神職の姿は、時に馬上にある。毎年秋に行われる流鏑馬では射手として弓を引く。歯を食いしばり、かっと目を見開いた顔は別人のよう。練習やJC活動などで忙しく、家族団らんは少なめ。「子どもと過ごす時は全力で楽しみます。家族との朝食は貴重な時間ですね」。2歳の子は、その後姿をどう見ているか。玄関を出て、きょうも町のために走り出す。
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