いつまでも「誠実・明朗」で

　○…コロナ禍の３年間は、神奈川県のがん・疾病対策課をはじめ、三浦や鎌倉の保健福祉事務所のトップとして、感染者への医療提供や医師会・医療機関との体制整備などに尽力してきた。「５類に移行するものの、完全に収束した訳でないので、市民の皆さんが安心して暮らせるよう、引き続き医療体制づくりや情報提供をしっかり行っていきたい」と襟を正す。

　○…祖父・父ともに外科医。「和歌山市内で病院を開業していたので、物心つくころには僕も外科医になるんだなと思っていました」。子ども時代からリーダーシップを覗かせ、委員などを任せられることが多かった。地元の医大を経て、晴れて消化器外科医になってからは、救命救急やドクターヘリの現場も経験。「短い期間でしたが、医師として貴重な体験でした」と振り返る。

　○…研修医時代、抗がん剤の副作用や、闘病の壮絶さを目の当たりにし衝撃を受けた。「緩和ケアという言葉も知られていない時代でしたが、身体と精神的なつらさを和らげ、安心して治療に臨めるサポートの必要性を痛感しました」。以来、がん治療を専門として臨床の最前線に。近年はその手腕や経験を買われ、国際がんセンターや厚労省で、がん対策や緩和ケアに力を注いできた。

　○…学会で外国人医師らとディスカッションができたらと、10年前から英会話を学んでいる。「海外では『はい／いいえ』だけでなく、その理由も伝えなくてはならないので、考え方やコミュニケーション能力もずいぶん変わりました」。座右の銘は、出身校・智辯和歌山の校訓「誠実・明朗」。「年を重ねると頑なになりがちですが、いつまでも誠実で明るく朗らかでありたいですね。健康づくりの相談など、気軽にしてもらえれば」